介護事業経営アドバイザー|福岡浩(介護事業運営・業務改善に関するコラム)

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介護事業経営アドバイザー 福岡浩のコラム

実地指導が「運営指導」という名称になり指導内容はどう変わるか

~介護保険最新情報Vol.1061、1062 (令和4年3月31日)より〜

介護保険制度が始まってから20年以上にわたり、「実地指導」という名称で指導が行われてきましたが、令和4年3月31日に発出された『介護保険施設等の指導監督について(通知)』及び『介護保険施設等運営指導マニュアルについて(通知)』で、実地指導から運営指導という名称に変わりました。

『介護保険施設等の指導監督について(通知)』では、これまでの集団指導の内容も少々変わりました。開催方法もオンラインを活用したり、動画配信などを取り入れたりするようになります。今後、介護事業者に求められるのは、こうした動きに対応できるよう、デジタルトランスフォーメーション(DX)等の知識や技術を積極的に取り入れ活用していくことです。オンライン会議システムや動画の送受信、日々の業務に必要な記録類やその他の書類のデジタル化を進める必要があります。

実地指導改め「運営指導」となって、これまでのように事業所に訪問して指導するだけでなく、オンラインによる指導も徐々に拡大していくと考えられます。その目的は、指導の標準化と効率化です。令和元年5月に発出された『介護保険施設等に対する実地指導の標準化・効率化等の運用指針について』がもとになっています。拙著「こう変わった!実地指導 基本と実務対応」では、標準化・効率化によって実地指導がどう変わるかを詳細に解説していますので、参考にしてください。

さて、実地指導が「運営指導」という名称になり、何がどう変わるか気になるところですが、冒頭に紹介した2つの通知を読むと、名称を変えた背景が見えてきます。結論的に言えば、「運営指導」という呼び方が示すように、「運営基準」をもとに指導するということに他なりません。とはいえ、これまでの実地指導でも運営基準に基づいた指導でしたが、地域によってローカルルールが横行してしまったことに対して、厚生労働省老健局総務課介護保険指導室は、長い間「実地指導マニュアル」の改訂を準備してきました。そして、マニュアルの内容を一新すると同時に名称を改めたと推測されます。

では、「運営指導」では指導内容がどう変わるのか。実は、筆者は令和3年度の某保険者の実地指導に係わり、オンラインによる実地指導のアドバイザーを務めました。実地方法は、保険者の実地指導担当者が従来通り介護事業所に訪問し、そこでノートパソコンを使って筆者とオンラインでやり取りしながら、実地指導をサポートしました。指導対象の介護事業所が事前に提出した資料、記録類を十分に確認した上で、実地指導に臨みましたので、確認する箇所は絞り込んでいました。確認する項目が少ない反面、一つひとつの項目に従って確認すべき文書類を丁寧に詳細に見ています。事業所管理者が予想していなかった質問も多々ありました。こうした点が以前の実地指導との違いではないかと思います。

「運営指導」となり、指導の標準化・効率化が進み、指導そのものに要する時間が大幅に短縮されることになりますが、必ずしも事業所側にとって楽になるわけではありません。運営基準に沿った事業所運営ができているかどうかが重要になります。一つの例として、ケアプランと個別サービス計画(訪問介護計画や通所介護計画など)との整合性を精査します。また、こんな事例がありました。アセスメントが十分に行われていないのに、なぜか計画書は詳細に作成されていたという例です。アセスメントが後付けになっていたのではないかという印象があり、作成者に確認しました。

『介護保険施設等運営指導マニュアルについて(通知)』は、2,221ページに及ぶ膨大なマニュアルですが、別添1,2,3を必ず読んでいただきたいと思います。別添1は「確認項目と確認文書」です。各サービス別に掲載されています。運営指導で確認する項目と文書名が明記されていますので、必ず確認しておきましょう。別添2は「各種加算等自己点検シート」です。今後の運営指導では「自己点検シート」を励行する方針ですので、定期的に自己点検を行うことをお勧めします。別添3は「各種加算・減算適用要件一覧」です。報酬請求指導では、適用要件を確認し精査しますので、こちらも重要です。特に事業所の介護報酬請求の担当者は必読です。

介護保険施設等運営指導マニュアルにある別添1「確認項目と確認文書」の一部(居宅介護支援)、別添2「各種加算等自己点検シート」の一部(通所介護)及び別添3「各種加算・減算適用要件一覧」の一部(訪問介護)を掲示しておきますので、ご参照ください。


別添1 「確認項目と確認文書」 201 居宅介護支援(一部)

居宅介護支援 個別サービスの質に関する事項 居宅介護支援 個別サービスの質を確保するための体制に関する事項

別添2 「各種加算等自己点検シート」 106通所介護費(一部)

通所介護 点検事項

別添3 「各種加算・減算適用要件一覧」 101訪問介護(一部)

訪問介護 加算・減算要件

今後、「実地指導が『運営指導』という名称になり指導内容がどう変わるか」という題目でお話しする機会があります。7月に介護ソフト「介舟ファミリー」のユーザ限定のWEBセミナーを開催する予定ですが、残念ながら、一般の方は視聴できません。また、横浜市某区訪問介護事業者連絡会主催のセミナーでも同様の題目で講演する予定です。こちらも会員限定となっています。

なお、各介護サービス事業者団体等の皆様からセミナー講師のご要望がありましたら、ご相談に応じておりますので、ご連絡ください。

2022年6月9日掲載

ライター:介護事業経営アドバイザー 福岡浩(元有限会社業務改善創研 介護コンサルタント)

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