介護事業経営アドバイザー|福岡浩(介護事業運営・業務改善に関するコラム)

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介護事業経営アドバイザー 福岡浩のコラム

オンライン実地指導は進むか!?

某保険者の介護事業所実地指導担当部署の課長・係長から、「実地指導を担当する職員の指導業務を支援してほしい。」との依頼があり、筆者はこれから実質的に事業所の実地指導に関わることになります。

政令指定都市や中核市ではない自治体は、保険者として居宅介護支援と地域密着型サービスの実地指導や監査を行うことになっています。その他のサービスについては、都道府県の権限で実施されています。したがって、筆者が係るサービスは、居宅介護支援と地域密着型通所介護や認知症対応型共同生活介護、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスになります。

さて、実地指導をオンラインで行う方向で準備している某保険者では、今年度に限り従来通り、事業所に訪問して実地指導を行いますが、筆者だけはオンラインで実地指導に加わります。おそらく来年度以降はさらに実地指導のオンライン化が進むものと考えられます。

実地指導をオンラインで行うと、どのようになるのでしょうか。

これまでのように多くの介護事業所が実地指導の直前に行っていた”実地指導対策”なるものは、増々意味がなくなるでしょう。元々、筆者は、”実地指導対策”に対して懐疑的な立場ですので、無駄な労力と時間を費やすだけで、その効果(成果物)が得られにくいと主張してきました。日ごろの事業運営が運営基準に沿って行われていることが基本ですから、改めて運営基準の重要性を認識し理解を深めることをお勧めします。

オンラインによる実地指導が対面で行っている従来の実地指導と大きく違うのは、事前に事業所が保険者等に提出すべき資料が確実に多くなるということです。当初は、紙で提出することになりますが、近い将来に資料のデータ(PDFなど)をメールで提出するようになるだろうと考えられます。実地指導の担当者は、事前に提出された資料を丁寧に確認し、ポイントを絞って実地指導に臨むことになるでしょう。そのポイントとは何か、どの部分かは、実際に実地指導当日にならないとわかりません。

実地指導の実施がオンライン化されるのは、まさに長引くコロナ渦が直接的な要因ですが、もともとの要因もあります。その一つが実地指導の効率化です。介護事業所や施設の数が増えても、そうそう実地指導の担当者を増やすことはできません。限られた人員のまま、何年も経過した結果、実地指導の実施件数は増えず、開業から10年経っても実地指導を実施されない事業所もあります。限られた担当者数で実地指導対象件数を消化するには、効率的に行うしかありません。実地指導の実施率は、全国平均でも18%前後ですから、いかに実施されていないかがよくわかります。

現在、厚生労働省老健局では、実地指導担当者向けの”実地指導マニュアル”を大幅に見直し作成しているところです。その中で、当然オンライン実地指導を推進する方向性を示すであろうと言われています。蛇足ですが、指定期間6年に1回の実地指導の実施が義務づけになることはほぼ確定しています。6年に1回の実施が義務づけになり、3年に1回が努力義務になるのではないかと考えられます。

オンライン実地指導とともに”実地指導の標準化・効率化”が相まって、自治体の実地指導担当者は、お尻に火が付いた状態になりますが、決して実地指導そのものを簡素化することはしないでしょう。実地指導の実績は記録され、報告しなければなりませんので、新しく作成される”実地指導マニュアル”に沿って実施するようになります。

オンラインでも対面式でも実地指導の目的が変わるわけではありませんから、日頃の事業所運営の質を高めるために、継続的な見直し、改善は必須です。

筆者が2021年4月に出版した『標準化・効率化方針でこう変わった実施指導・・・』を参考にしていただき、実地指導がいつ行われても対応できる事業所運営を目指しましょう。


標準化・効率化方針でこう変わった! 実地指導 基本と実務対応

2021年8月8日掲載

ライター:介護事業経営アドバイザー 福岡浩(元有限会社業務改善創研 介護コンサルタント)

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