介護事業経営アドバイザー|福岡浩(介護事業運営・業務改善に関するコラム)

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介護事業経営アドバイザー 福岡浩のコラム

科学的介護LIFEの肝はPDCA

厚生労働省のホームページには、『科学的介護LIFE』に関する掲示があり、各都道府県や保険者のホームページにも同じものが掲示されています。 LIFEに関してより詳細に説明した掲示は、民間のサイトでも少ないので、よくわからないという介護事業関係者も多いのではないでしょうか。

下の図はよく見られる『LIFE(VISIT・CHASE)による科学的介護の推進(イメージ)』です。現在も厚生労働省のホームページに大きく掲載されています。

LIFEによる科学的介護の推進

この図はいわゆるイメージ図なので、これを見ただけではLIFEそのものを十分に理解できるわけではありません。しかし、この図で何が重要かを汲み取ることはできます。

科学的介護LIFEを進めるうえで、もっとも重要かつ理解しておかなければならないのは、”PDCAサイクル”です。

介護保険制度発足当初には、見ることがなかった”PDCAサイクル”という言葉ですが、筆者は、2000年に、当時勤務していた会社でISO9001(品質マネジメントシステム)の認証取得プロジェクトに関わっていましたので、”PDCAサイクル”という言葉にうなされるほど身近に感じていました。

さて、基本的な説明になりますが、”PDCAサイクル”を簡単に説明します。

PDCAのPは、PLANで「計画」です。Dは、DOで「実行、実施」。Cは、CHECKで「評価・検証」。Aは、ACTIONで「見直し・改善」。

4つのプロセスには、それぞれに注意しなければならない重要なポイントがあります。紙面の制約があるので、簡単に説明します。

最初にPLAN(計画)です。

作成した計画の精度が高いかどうかが、その後のプロセス(DCA)に大きく影響を及ぼします。

したがって、計画作成の前に行うアセスメントがいかにきめ細かくできるかがカギになります。アセスメントで利用者の状態や生活環境などが的確に把握され、計画に反映できるかどうかは、アセスメントシートの様式によっても変わってきます。アセスメントシートは定期的に見直して改訂を検討しましょう。場合によっては、軽度者用や重度者用といったアセスメントシートがあってもよいのではないかと思います。

次に、DO(実行・実施)です。

PLAN(計画)に沿って、計画通りサービスを実施します。言葉では簡単に言いますが、サービスを提供する担当者によって、サービス提供方法が違っていたりすると、計画通りのサービス提供から逸脱する可能性があります。これをISO9001では不良品と言います。不良品のサービスを誰がどのように見つけ出すかも重要です。また、サービス提供後に利用者を観察した結果や状態の変化などの情報を、サービス提供記録書等で共有されていなければなりません。

サービス提供方法にバラツキが生じる原因の多くは、サービス提供の手順書やマニュアルが整備されていなかったり、サービスを提供する担当者への手順の説明が不十分だったりすることが考えられます。

3つは、CHECK(評価・検証)です。

前述の厚生労働省のイメージ図には、CHECK(評価)とありますが、本来は「検証」する必要もあります。CHECK(評価・検証)のプロセスでは、計画を評価します。評価とは、「計画がよかった」、「計画が悪かった」というように、計画に記載した目標の達成度をもとに評価します。その結果を踏まえて計画を検証します。ここまでの情報をLIFEにデータ提出しますので、実質的な検証作業は  LIFEが行うことになるのでしょう。

ISO9001(品質マネジメントシステム)では、CHECK(評価・検証)を当事者が行いますが、ここがもっとも難しく、客観的な評価と検証が求められます。

さて、最後のACTION(見直し・改善)です。

CHECKと同様に、厚生労働省のイメージ図では、次にLIFEからフィードバック情報が戻ってきます。これをもとに計画を見直し、改善することになります。

LIFEがISO9001(品質マネジメントシステム)と大きく違う点は、CHECKとACTIONですが、特にCHECK(評価・検証)の作業をLIFEが行うということになります。これを『科学的介護』と言っていますが、果たしてうまくいくのか、疑問が残ります。

しかし、介護保険制度は発足当初より「走りながら考える」制度といわれ、5 年ごとの制度改正、3 年ごとの報酬改定を続けてきましたので、3年後の2024年には、LIFEそのものの評価、検証を行い、見直し、改善があるのではないかと思います。

ISO9001(品質マネジメントシステム)にご興味がありましたら、こちらをご覧ください。

https://www.jqa.jp/service_list/management/management_system/

また、”PDCAサイクル”を確実に理解し、事業所の運営に活用したいという方のために、1冊の書籍をご紹介いたします。私が尊敬する楠元睦巳氏のご著書です。楠元氏は、社会福祉士、介護福祉士、そして介護支援専門員の資格があり、介護事業所の運営にも携わった経験があります。本書は、介護現場を知り尽くした楠元氏がわかりやすくまとめられた良書として、皆様にお勧めいたします。

介護事業所に人が集まるPDCA仕事術: 業務がぐんぐん効率化 (もっと介護力! シリーズ)

2021年8月6日掲載

ライター:介護事業経営アドバイザー 福岡浩(元有限会社業務改善創研 介護コンサルタント)

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