社会保障審議会介護給付費分科会がまとめた「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」(平成2年12月23日)の、 「Ⅱ 令和3年度介護報酬改定の対応」(P.6)の冒頭に、1感染症や災害への対応力強化 とあり、その最初が「(1)日頃からの備えと業務継続に向けた取組の推進」です。 ①感染症対の強化、そして②が「業務継続に向けた取組の強化」です。ここには以下のような説明があります。
『感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、 全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。』
全サービスを対象としています。さらに指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準(運営基準)の改正の項目にもなっていますので、「義務づける」ことになります。
事業者に義務づける項目が3つあります。
1つ目は、業務継続に向けた計画等の策定です。一般的には「事業継続計画」(BCP)と言われる計画です。10年前の東日本大震災の後に、多くの会社が事業継続計画を策定するようになりました。他の産業ではすでに当たり前のこととして策定されるようになった事業継続計画ですが、介護事業者で一部の会社、法人が計画を策定し、定期的に見直しを行っているようです。
2つ目は、研修の実施です。事業継続計画を策定し、その内容を従業者に周知し、理解するためには研修を実施する必要があります。従業者に計画内容が共有されなければならないからです。
3つ目に訓練(シミュレーション)の実施があります。従業者が事業継続計画を理解し、実際に計画通りに行動できるようにするために、訓練(シミュレーション)を実施します。
3年の経過措置期間がありますが、今から準備しましょう。 3年後以降には、実地指導の際に事業継続計画の確認、研修や訓練の実施記録などを確認することになります。
今回の介護報酬改定とともに行われる基準改正は、これまでにない事業運営管理能力を試される課題が多く、運営基準等で「義務づける」ことによって、厳格に実施状況を確認することになります。 小規模な一事業所一法人だけでは簡単に乗り越えられないハードルかも知れません。複数の事業所で情報を共有し共同で事業継続計画の策定を進めるのも1つの方法ではないかと思います。
2021年2月9日掲載
ライター:介護事業経営アドバイザー 福岡浩(元有限会社業務改善創研 介護コンサルタント)
居宅介護支援事業所に求められる新しいルールにどう対応するか?
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