介護事業経営アドバイザー|福岡浩(介護事業運営・業務改善に関するコラム)

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介護事業経営アドバイザー 福岡浩のコラム

2020年12月23日厚生労働省から公表された「平成30年高齢期における社会保障に関する意識調査報告書」の興味深い調査結果

報告書の目次を見ると、医療、介護、福祉関連に携わる方々には、是非一読いただきたい内容です。

調査対象者は20歳以上の男女で、70歳以上も含まれる年齢層が幅広いために、当然ながら考え方などに世代間の違いもあります。しかし、興味深い調査結果です。

以下が目次です

1 老後感 2 老後とは何歳ぐらいからか 3 老後の不安 4 就労希望年齢 5 老後の働き方
6 老後の収入源 7 老後の生きがい 8 老後生活における子どもとの同・別居について
9 年をとって生活したいと思う場所 10 自宅で介護される場合の希望
11 今後増えて欲しいと思う介護関係の事業所・施設
12 老後生活と社会保障(年金、医療、福祉など)の関係について
13 役立っていると考える社会保障の分野について 14 税や社会保険料の負担について
15 社会保障の給付と負担の関係について
16 少子高齢化が進行する状況における高齢者と現役世代の負担水準について

16項目の中で、『3 老後の不安』については、世代の差がはっきり浮き彫りになっています。若い世代では「生活費の問題」の割合が多くなっているのに対し、高年齢層では「健康の問題」の割合が多くなっています。若い世代は、将来の年金受給の不透明感を感じているようです。また、高年齢層では、もっとも切実な問題として、健康に対する関心が高いという当たり前の結果でした。

年齢階級別にみた老後に最も不安を感じるもの 年齢階級別にみた老後に最も不安を感じるもの

さて、介護や医療の関係者に是非注目していただきたいのは、『7 老後の生きがい』や『9 年をとって生活したいと思う場所』、『10 自宅で介護される場合の希望』、『11 今後増えて欲しいと思う介護関係の事業所・施設』等などがあります。近い将来の介護や医療サービスを利用するかも知れない人たちの生活に対する考え方などが見えてきます。

7 老後の生きがい』では、男性は「教養・趣味を高めること」が 44.9%で最も多く、女性は「子どもや 孫の成長」が 46.9%、「教養・趣味を高めること」が 42.4%となっています。また、三割近い人が「友人や地域の人との交流」と答えています。

続いて、『9 年をとって生活したいと思う場所』は、どういう結果でしょうか。

「自宅(これまで住み続けた自宅、子どもの家への転居を含む)」が64.7%、さらに配偶者がいなくなり1人となった場合、在宅で生活したい人は、「50~59歳」で68.7%、「60~69歳」で68.6%と、
7割近くの50代、60代が、住み慣れた自宅で住み続けたいと思っているようです。しかし、「70歳以上」では、61.3%となり、現実的に一人暮らしが難しいと感じているのではないかと考えられます。一人暮らしに自信が持てなくなるのは、おそらく「健康の問題」でしょう。先ほどの「老後の不安」でも高年齢層の割合が高いことと関連していると考えられます。

10 自宅で介護される場合の希望』を見てみましょう。

自宅で介護されるとした場合、どのような介護をされたいか 自宅で介護されるとした場合、どのような介護をされたいか

年をとって介護が必要となり、自宅で介護を受ける場合については、「ホームヘルパーなど外部の者の介護を中心とし、あわせて家族による介護を受けたい」とする者が 34.4%、「家族 の介護を中心とし、ホームヘルパーなどの外部の者も利用したい」が 23.1%、家族と外部の者(ホームヘルパーなど)の両方から介護を受けたい者が約6割を占めています。年齢階級別にみても、すべての年齢階級で家族と外部の者(ホームヘルパーなど)の両方から介護を受けたい者が5~6割です。

このような結果から、訪問介護などの訪問系介護サービスは、今後も増え続ける在宅の要介護高齢者にとって増々必要性が高まると言えます。

最後に『11 今後増えて欲しいと思う介護関係の事業所・施設』をグラフとともに見ていきましょう。

今後10年間で家の周りに今以上に増えて欲しいと思う介護関係の事業所・施設については、「自宅にヘルパーや看護師、理学療法士等が訪れ、訪問介護・看護サービスやリハビリテーションを提供する事業所」が最も多く 40.1%、次いで「自宅から通い、デイサービスやリハビリテーションを提供する事業所」が 34.2%、「日常的な医学管理や看取りなどの医療機能と生活施設の機能を兼ね備えた介護医療院」が 32.3%、「通い、泊まり、訪問が一体的に提供される(看護)小規模多機能型居宅介護事業所」が 28.5%となっています。

要介護高齢者の在宅生活を支えるサービスが将来的にもっと必要になるという認識があることが窺えます。

できる限り長く自宅で暮らしたいという思いがあるようです。また、要介護=介護施設ではなく、要介護状態になっても住み慣れた家で自立した生活をしたいと思っているようにも受け取れます。

今後10年間で家の周りに今以上に増えて欲しいと思う介護関係の事業所・施設(複数回答) 今後 10 年間で家の周りに今以上に増えて欲しいと思う介護関係の事業所・施設(複数回答)

2021年1月14日掲載

ライター:介護事業経営アドバイザー 福岡浩(元有限会社業務改善創研 介護コンサルタント)

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