介護サービス情報の公表制度が始まった2006年、私は主任調査員としてこの一年間で35サービス、29事業所を訪問し調査を担当しました。 それから14年経った現在、この35のサービスがどうなっているか、調べてみました。
調査員が個人的にすべての調査の記録を保持することはできませんので、記憶による検証になりますが、調査時に「10年後も継続しているかどうか」と、疑問に感じた事業所が、やはり今は存在していない事実が判明し、あの時の見立てが間違ってなかったと考え深く思い出されます。
さて、下記にその詳細を表にまとめましたので、ご覧ください。
サービス種類名 | 2006年訪問調査の件数 | 2020年事業継続未確認件数 | 2020年事業継続確認件数 |
---|---|---|---|
訪問介護 | 9 | 5 | 4 |
通所介護 | 5 | 1 | 4 |
訪問看護 | 2 | 1 | 1 |
訪問入浴介護 | 1 | 1 | 0 |
福祉用具貸与 | 2 | 0 | 2 |
特定施設入居者生活介護 | 2 | 0 | 2 |
介護老人福祉施設 | 2 | 0 | 2 |
居宅介護支援 | 12 | 3 | 9 |
合計 | 35 | 11 | 24 |
まず、訪問介護です。私が担当した2006年度の調査件数が9件でした。14年後の現在、事業の継続が確認できたのは4件。 廃止したと思われる5件の訪問介護のうち、2件は運営会社である法人そのものの存在も確認できませんでした。 残りの3件は運営法人が存続していて、訪問介護以外の介護保険サービスの事業を継続していることが確認できました。
廃止したと考えられる2件の訪問介護の調査については、その状況を鮮明に記憶しています。 調査内容から、「このままでは、いずれ事業が立ち行かなくなるだろう」という印象を強く持ったことを覚えています。 その一つは、電話の応対や調査時の管理者の態度、記録類の整備などがずさん極まりない状況でした。
通所介護では、止めてしまったと思われる1件が、特別養護老人ホームに併設されたデイサービスセンターでした。 1日定員25名に対して、とにかく介護職員の多さが目立ち、よく言えば手厚い介護を目指していたようですが、残念ながら廃止したようです。
訪問看護は、調査した2件のうち、1件がなくなりましたが、運営法人の別の事業所に統合されたことが確認できました。実質的に廃止したことになります。
全体的な事業所数が少ない訪問入浴介護は、1件調査を担当しましたが、その1件が廃止していました。 運営していたのは、社会福祉法人で特別養護老人ホームや通所介護、居宅介護支援などを運営していますので、 おそらく不採算部門であった訪問入浴介護を止めたのではないかと思われます。
最後に、居宅介護支援12件の調査を担当しましたが、事業継続が確認できなかったのは3件。 3件のうち2件は、撤退していただいてよかった事業所でした。 ケアプランや支援経過記録などの内容が不十分であり、管理者が事業所全体を把握できていない状態だったことを記憶しています。
結果として、2006年度に35サービスの調査を担当しましたが、そのうち現在でも事業を継続しているのは、24件でした。 この14年間で、三割強の介護サービス事業所が姿を消したことになります。
2020年7月24日掲載
ライター:介護事業経営アドバイザー 福岡浩(元有限会社業務改善創研 介護コンサルタント)