介護事業経営アドバイザー|福岡浩(介護事業運営・業務改善に関するコラム)

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介護事業経営アドバイザー 福岡浩のコラム

厚生労働省が7月3日に公表した『30年度 介護保険事業状況報告(年報)』より

注:平成30年度末現在(平成31年3月末)で報告をまとめるため、それから1年数カ月後に報告書となります。

平成12年(2000年)に始まった介護保険制度が19年の歳月を経て、初めて後期高齢者数が前期高齢者数を上回りました。前期高齢者数は1,730万人、これに対して後期高齢者数は、1,796万人となりました。超高齢社会は、さらに高齢化が進んでいることを物語っています。 こうした状況になることは、介護保険制度が始まる以前から想定されていましたが、予想よりも少し早く後期高齢者数が増加していることがわかります。

一昨年、社会保障審議会の介護保険部会では第7期介護保険事業計画(2019年〜2021年)をどうするか議論していた時に、 『重度化防止』と『自立支援』を掲げて、その取り組みを具体的にどうするか検討していました。 それは、今後も後期高齢者が増え続けるという想定のもとに、できる限り要介護状態になるのを遅らせること、 要介護状態になったとしても重度化を抑制することを念頭に様々な取り組みを、国の施策として打ち出しました。

介護現場で利用者に介護サービスを提供している事業関係者が、国の施策を評価したり、批判したりすることも必要かもしれませんが、 その前に後期高齢者の増加を現実のものとして受け止めなければなりません。 5年後、10年後には、今よりも利用者の平均年齢が高くなり、同時に要介護度の平均も確実に高まるだろうと考えておかなければなりません。

利用者の平均年齢と平均要介護度が高くなるにつれて、利用者のサービス利用期間は短くなります。 制度創設から19年間を振り返っても徐々に利用期間が短くなっているはずです。 居宅サービスも施設サービスもこうした環境変化は同じように影響を受けることになります。 居宅サービスでは、入院、入所、死亡により利用数の一時的な減少があり、施設サービスでは、看取りの利用者が増え、入所期間が短くなります。 そうなると空室を長期化させないことや空室数を増やさない努力が絶えず必要になります。

介護サービスは、いわゆるストックビジネスと言われる事業です。 ストックとは『蓄える』という意味です。 たとえば、スポーツジムのように会員制で毎月会費を徴収したり、様々なイベントなどを企画したりして会員の利用を促進し、売上を安定的に確保するビジネスをストックビジネスと言います。

介護サービスも利用者との契約によって、定期的にサービスを利用していただくということから言えば、ストックビジネスになります。 このストックビジネスは、会員や利用者が入会したり契約したりして、できるだけ長期間、会員でいてもらい、利用者としてサービスを利用してもらえることで、安定的な経営が継続できます。

しかし、そのストックビジネスにも黄色信号が点滅し始めています。

ストックビジネスに対して、フロービジネスというものがあります。 いわゆる不特定多数のお客様を対象とした商売です。 わかりやすい例では、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのような小売業です。 売上が安定しにくい側面があるため、ポイントカードや会員割引などの工夫をこらしてストックビジネスに近づける努力をしています。

介護保険事業の顧客は、要介護高齢者です。

しかし、増々高齢化していくと、ストックビジネスでありながら、フロージビネス化していくのではないかと懸念されます。 そうした状況を想定し事業展開の見直しと改善が必要な時期に来ているのではないでしょうか。

2020年7月19日掲載

ライター:介護事業経営アドバイザー 福岡浩(元有限会社業務改善創研 介護コンサルタント)

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