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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

介護業界だけではない人手不足が深刻化

将来推計は最悪のシナリオに

内閣府が2014年に公表した労働力人口の将来推計を見ると、2013年の労働力人口6577万人、現状の水準で継続した場合に2030年には900万人近く減少し、5683万人となる試算です。 これは最悪のシナリオであり、様々な対策を講じたとしても人口減少に大きな歯止めをかけられるとは思えません。

他の業界の様々な工夫と外国人労働者への依存

最近では、運送業界の人手不足が深刻化し、地方ではタクシー会社がタクシーの空いている時間を有効利用してタクシーによる宅配便の業務を代行しているという例もあります。 また、都市部のコンビニエンスストアなどでは、外国人スタッフが流暢な日本語で接客している光景が当たり前になっています。 さらに建設現場でも外国人の労働者を見かけるようになって久しい状況です。 その他、ファーストフード業界でも元気な高齢者が接客業務で活躍している姿を目にするようになり、人手不足の深刻さを目の当たりにしています。

労働人口の高年齢化が進行

こうした状況から考えると、介護業界の人手不足は他の業界よりもさらに悲観的に受け止めざるを得ません。 それは、労働力人口の減少が進むというだけはなく、労働力人口そのものの高年齢化も進むからです。 2015年の国勢調査によると、20から29歳が1259万人に対して、30から49歳は3372万人、50から64歳は2372万人です。 それぞれの年代層すべてが就業しているわけでありませんが、すでに3分の1を50歳以上が占めています。 このまま、労働力人口の高年齢化が進み50歳以上が40%を占める2040年ころには元気な高齢者が今以上に活躍することになるでしょう。 しかし、少しでも良い労働条件で人手を確保しようするのは、どの業界も同じであり、熾烈な労働力の奪い合いになると予想されます。 そうなったときに労働力人口の高年齢化は介護業界にとって不利になる恐れがあります。

介護業界の労働条件が今よりどれほど改善しているかにもよりますが、他の業界の魅力、遣り甲斐などが若い労働力を惹き付けている状態が続き、介護業界に人材が集まり難いままでは、増々介護サービス量が減少してしまうのではないかと気がかりです。

介護サービス量は縮小傾向へ

訪問介護サービスの依頼がありながら、これに対応する人手が足りずにせっかくの依頼を断らざるを得ない状態が続き、経営状況が悪化してしまう例をよく耳にするようになりました。 在宅介護サービスに限らず、施設サービスも人手不足のために入所、入居希望者を受け入れられず、満床にならないまま、施設の一部を閉鎖した例もあります。

介護サービスを必要とする要介護高齢者は今後も確実に増え続けるにもかかわらず、サービスの供給量が確保できない状態が深刻化しています。

昨年度に続き、今年度も福祉、介護関連の企業倒産件数が、過去最高と報じられています。 原因の一つはやはり人材不足です。 他の業界との人材の奪い合いに勝てないまま、介護需要があるにもかかわらず、サービスを供給できないという残念な結果になっています。

介護人材確保の難しさ

若い労働人口は、介護業界に入ってこないのは、3Kのイメージが広く浸透してしまっているからでしょうか。 一部には4K(仕事がキツイ、汚い、カネが少ない、危険が多い)とも言われています。

仕事を探すときに、労働条件がよく安定した職場を求めるのは、誰でも同じですが、 介護業界では、辞める理由に「人間関係がうまくいかなかった」とか、「自分の考えと職場の考えが合わなかった」などが多く、 必ずしも給与が安い、昇給がほとんどないという理由が大多数ではないようです。

こうした退職の理由の分析が十分になされていないのに、外国人労働者の雇用に積極的に取り組み始めています。

介護現場にも徐々に外国人労働者が雇用されていますが、コミュニケーションや言葉の問題、習慣の違い、細かい業務工程の習得など、多くの課題があり、 他の業界に比べれば、活躍の場が限定的であり、長期的な雇用計画が立てにくいのではないでしょうか。

常に新規利用者が来る事業所は介護人材も集まる?

介護サービスを必要とする利用者やその家族は、役所や地域包括支援センターに相談し、事業所のリストなどをもらって、 近くの事業所に相談するという今までの新規利用者の流れが、徐々に変わっていくでしょう。 役所や地域包括支援センターに相談する前に、インターネットなどで事業所を探し、そのホームページを見たり、事業所の評判を調べたりして、ある程度の下調べをしてから、事業所を選ぶようになるでしょう。

ホームページの内容を見て、これまでの実績や事業運営の状況などを評価し、信頼性を感じてはじめて事業所を選択するようになるでしょうか。 介護人材の確保も同じことが言えます。

現在勤めている事業所を辞めるにあたって、次の事業所を探すときに、やはりホームページを閲覧して下調べをする人は増えています。 介護現場で働く人が、「この事業所で働きたい」と思える事業所は、利用者にとっても同じなのです。

さて、問題はホームページやSNSなどを活用し、何をどう発信すればよいのでしょうか。 発信できる内容を充実するには、サービスの質を高める事業所運営の仕組みが必要です。 その仕組みを作り上げなければ、利用者も介護人材も集まらないのではないでしょうか。

2017年10月21日掲載

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