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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

寄り添う介護だけでなく顧客満足度も追求しよう

 「寄り添う介護」という表現は、その主語が介護する人=介護職員など介護事業所の関係者です。 この言葉には、介護する側が自己満足に陥る危険性があり、介護サービスの主体である要介護高齢者の顧客満足度を十分に把握せずに「寄り添う介護」だけが暴走してしまうのではないかと、 筆者は第三者の視点で懸念しています。 わかりやすく言えば、「良かれと思ってやっている介護」が本当に利用者にとって必要であり、利用者の満足度を高めているのかどうかも検証されていないことが多く、気になっています。

以前、ある友人のお父様(当時78歳くらい)は一人暮らしで、要支援2でしたから、 介護予防訪問介護の事業所が提供する掃除や買物、洗濯などのサービスを定期的に利用していました。 ある時、筆者がご本人と雑談していて介護サービスの話になり、 「介護保険サービスを利用してみて、いかがですか」と聞いてみました。そうすると、意外な答えが返ってきました。

「うちに来てくれるヘルパーさんはみんないい人ですよ。みんなに気持ちよく仕事してもらいたいから、とにかく、何をやってもらっても、ありがとうと声をかけているんですよ。」

筆者は、さらに「介護サービスを利用していて気になることがありますか。」と、聞くと、

「そりゃ、色々あるけれど、来てくれるだけありがたいから、余計なことは言いませんよ。 でも、掃除が得意な人もいれば、料理が得意な人もいますね。おしゃべりが上手な人もいれば、黙って黙々と仕事している人もいますね。」とニコニコしながら話してくれました。

介護事業所がどこまで気付いているかわかりませんが、利用者やその家族は介護サービスを提供している介護職員をよく見ていることがわかります。 利用者やその家族は、訪問介護のヘルパーさんやデイサービスの介護職員の動きをよく観察しています。 しかし、そんな素振りを見せることもありません。 余程の不快を感じない限り、苦情も訴えません。

その反対に、介護事業所側の方々がどれだけ利用者を観察できているのでしょうか。 介護サービス情報の公表制度の訪問調査で、筆者が伺った事業所で提示されるサービス提供記録等には、そうした観察の記録が余り書かれていません。

「寄り添う介護」と口にされるけれど、どれだけ利用者の満足度を把握しているのか疑問に思います。 もっと積極的に利用者アンケート調査を実施して、利用者の声に耳を傾ける姿勢がほしいものです。 筆者がこういう話をすると、必ず反論される方がいます。 「アンケートなんかやらなくても、ひとり一人の利用者様から、ご要望やご希望をお聞きするようにしています。 だから、ご満足いただけていることはわかっています。」という主旨の逆襲を受けます。

私たちよりも数十年も長く生きてきた高齢者を侮ってはなりません。 そうそう簡単に本音を引き出せるものではないのです。 前述の友人のお父様も、私が部外者であり気心知れた息子の友人であることがわかっているから、本音を漏らしたのです。

アンケート調査を実施するのは、何回か継続していると徐々に本音を書いてくれようになるからです。 筆者は出張で各地のビジネスホテルに宿泊する機会が多く、どこのホテルでも必ず部屋のデスクにはアンケート用紙が置いてあります。 以前は面倒なのでアンケートには答えていませんでしたが、最近はできるだけ書くようにしています。 アンケート用紙の内容によっては、積極的に本音で書いています。 要するに設問の文章が、どれだけ聞きたいことを率直に聞こうとしているかで答え方も変わってしまうのかも知れません。

アンケート調査を実施し、常に顧客(利用者)満足度を把握しながら、「寄り添う介護」もするのなら、これほど素晴らしい介護事業所はないでしょう。

2017年4月13日掲載

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