介護コンサルティングネット:有限会社業務改善創研|介護コンサルタント福岡浩

介護コンサルティングネットへのお問い合わせ

利用者本位のサービスを実現するために、介護事業運営の仕組みを改善します。

ホーム2016年6月のコラム

有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

対照的な研修講師依頼の仕方二つの事例

今年の3月中旬に、デイサービス4事業所を運営する介護事業会社のS社長から研修講師の依頼があり、事前にお会いする約束をした上でご相談を受けました。

依頼された時の要点は、

  1. 来年度(28年度)の職員研修計画で「介護保険制度全体を理解する」というテーマで3時間2回を検討していること。(研修内容について)
  2. 実施予定時期は5月、6月の2回で、第3土曜日の午前中を希望していること。(研修実施時期について)
  3. 研修講師料(謝礼)は○○円程度の予算であること。(費用について)

以上の3点でした。

研修講師を依頼される場合に、上記のような要領で打診されることは少ないです。特に1.については、ほとんどないと言ってもよいでしょう。 「来年の研修計画を策定している」という説明があって研修講師の依頼を打診されることはほとんどありません。

本来は、3月中に来年度の研修計画を立てていることが重要なのです。 S社長は研修のテーマ、実施時期、講師の選定、研修費予算の概算などを確定するために、講師依頼を打診されたわけです。

また、2.は、具体的な実施時期も合わせて相談されています。 他の研修テーマ、実施時期を考慮して各研修テーマごとの実施日程を調整していることが窺えました。

さらに、3.についても重要です。研修講師料をどの程度に見積もっているかを最初に提示することは、依頼される方もその依頼を受けるか否かを即答しやすくなります。 仮に予算があまりない場合でも、希望しているテーマや研修に要する時間を再検討してもらい、可能な限り予算に見合った内容に変更し、効果的な研修が実施できるようにご相談することもあります。

この案件はご相談の結果、5月、6月、7月の三カ月にわたり、
①介護保険制度創設の背景、②介護保険制度の概要、③介護保険制度の今後の方向性、という3つのテーマで研修を実施することに決定しました。
当初の予定より、1回分増えましたが、その必要性を十分に理解されたS社長と研修担当者の意向が一致したようです。

一方、残念ながら研修講師の依頼をお断りしたいと思ってしまう場合があります。 これも実際にあった事例ですが、今までにも同様の依頼は数多くありました。 5月末のある日、外出先で携帯電話に研修講師の依頼の問い合わせがありました。

その依頼内容は以下の通りです。

  1. 訪問医療、訪問看護などを運営している医療法人であること。(法人の概要説明)
  2. 医師、看護師、医療事務職員などを対象に接遇マナー、傾聴などについての研修を希望していること。(決定している研修受講予定者と研修テーマ)
  3. 実施予定日は来月30日午前中であること。(決定している研修実施日時)

これだけの内容を電話で依頼されても即答はできないので、すでに決まっている研修実施日を仮押さえで空けておくことだけを伝え、研修についての詳細を改めてメールでいただくようお願いしました。 翌日メールが届きましたが、肝心な研修講師料については全くふれていませんでしたので、 敢えてこちらから講師料の提示と、できるだけ早く打ち合わせを行いたい旨を返信しました。 木曜日夜に返信メールを送信したので、翌日金曜日か週明けの月曜日には先方がメールを確認し、返事があるだろうと思っていましたが、連絡はありませんでした。 研修実施日まで1ヵ月を切っているのに大丈夫だろうかと気になり、こちらから火曜日の朝に電話を入れてみて驚きました。 メールを全く見ていなかったということでした。 この時点で、この法人の研修依頼にはお応えできないと直感しました。 そもそも、最初に電話で依頼があった時にも、研修計画に基づいて実施する研修でないことは容易に想像できました。 電話でお願いして引き受けてくれれば簡単に研修ができるだろうと思っていたのかも知れません。 そこで、先方の医療法人のホームページを閲覧し、概ね法人組織等の様子を把握し、依頼してきた担当者の上司(法人本部長)に連絡して事情を説明し、本件の依頼をお断りすることにしました。

今後も都市部の高齢化がより一層進んでいく中で、医療、介護、福祉といった分野の役割の重要度が増しています。 その分野に携わる人材の育成や専門性を高める研修、顧客満足度を高める研修など様々な研修が必要であることは誰もが認識しているでしょう。 必要なことは、効果的な研修を計画的に実施していくことです。これによって、受講者が個々の業務において実践に生かし成果をあげることが目的です。

しかし、計画的かつ効果的な研修を実施しようとしているかどうかは、研修講師の依頼の仕方だけでもわかります。 講師の力量や技量だけでは効果的な研修はできません。 研修を実施する当事者が事前準備や研修の実施方法などを工夫し、より効果的な研修を計画することが何よりも大切なのです。

2016年6月4日掲載

「介護コンサルタント福岡浩のコラム」の先頭に戻る