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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

紛らわしいリハビリ特化型デイサービス(通所介護)

以前から気になっていることですが、介護保険サービスの通所系サービスには、通所介護通所リハビリテーションがあります。 この両者が一般の人には非常に分かりにくいようです。 分かりにくくしている理由の一つに、「リハビリ」という言葉の使われ方に問題があります。

表題のように「リハビリ特化型デイサービス●●●」という事業名を名乗る通所介護事業所が見られます。 また、事業名でなくても、事業所の特色に「リハビリを中心としたサービスを提供します。」と言う表現もよく見聞きします。 デイサービスの案内パンフレットなどにも「作業療法士による専門的なリハビリを受けられます。」という旨の表現も見られます。

極めつけは、 「リハビリ専門の治療的デイサービスで、身体機能の向上を目指します。歩行障害・脳梗塞・腰痛・膝痛・肩痛などの痛み、麻痺やパーキンソン病などの難病、加齢や退院後の身体機能の衰え、体力低下や今後、身体の衰えが心配な方、身体機能を出来るだけ防ぎたい方に最適です。」 と、介護サービス情報公表の事業所の特色の欄に書かれているのを見つけました。

それは看過できないと思い、指導監督の権限をもつある県の指導班に連絡しました。 デイサービスの事業者として、利用者の日常生活における自立支援に寄与するサービスを提供しているとしても、 どんなに利用者から喜ばれるサービスを提供しているとしても、 上記のような表現は利用予定者やその家族に誤解を招くことになります。

そもそも、「治療」と言う言葉も問題であり、医療機関であるかのようなイメージを与えかねません。 同時に「リハビリ専門」もリハビリテーション専門という受け止め方が容易にできるので、紛らわしいと言わざるを得ません。

さらに驚いたのは、連絡したある県の指導担当者に、「介護サービス情報の公表時にチェックしていないのでしょうか。」と訊ねると、 担当者は「全くチェックをしていない。今回のように閲覧した方からのご指摘があれば、当該事業所への指導を行います。」という回答でした。 その回答には納得できないので、さらに「指定申請時でも確認できないのでしょうか。」と聞いてみたところ、 指定申請時は指定基準を満たしているか否かのみを確認しているので、事業所の特色の内容までは確認していない。」と言う旨の回答でした。

厚生労働省老健局老人保健課長より、平成18年12月25日付で、 『老老発第1225003号 医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について』が発信されています。その中で明確にリハビリテーションを定義しています。

4 介護保険におけるリハビリテーション

(1) 介護保険において提供される維持期のリハビリテーション
ア 介護保険において提供される維持期のリハビリテーションについては、身体的な機能の大幅な改善が見込まれない者等について、日常生活を送る上で必要となる機能の維持及び向上を主たる目的として行うものであること。
イ 介護保険において提供されるリハビリテーションは、
1) 介護老人保健施設及び介護療養型医療施設において提供される施設サービスのリハビリテーションと
2) 通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション等の居宅サービスのリハビリテーション
により構成されている。居宅サービスのリハビリテーションについては、通所によるリハビリテーションが基本であるが、
1) 通所によるリハビリテーションを受けることができない場合
2) 通所によるリハビリテーションのみでは家屋内におけるADLの自立が困難である場合における家屋
状況の確認を含めた介護予防訪問リハビリテーションの提供など、ケアマネジメントの結果、必要と判断された場合については、訪問によるリハビリテーションが提供されること。
ウ 介護保険におけるリハビリテーションについても、医療保険におけるリハビリテーションと同様に、医師の指示のもと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職が提供するものであること。

以上のように、「介護保険におけるリハビリテーション」とは、通所リハビリテーション事業所、訪問リハビリテーション事業所、介護老人保健施設等において提供されるサービスを指しています。 また、「介護保険におけるリハビリテーション」は、医師の指示のもと、理学療法士、作業療法士等の専門職により、提供されるものです。

一方、通所介護事業所に配置された作業療法士や理学療法士等が行うサービスは、「機能訓練」であり、介護保険制度上の明確な違いがあまり理解されていないようです。

広義の意味では、機能訓練もリハビリテーションと同じだという考え方がありますが、通所介護事業者は、制度に基づいた違いを理解しておく必要があります。

2015年9月1日掲載

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