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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

厚生労働省から発表された『平成26年度介護給付費実態調査の概況』から見えること

『平成26年度介護給付費実態調査の概況』とは、平成26年5月から平成27年4月までの審査分のデータをもとに実態を調査したものです。

いわゆる平成26年度の介護給付費の振り返りです。

1 受給者の状況
  1. 年間受給者数
    1年間における介護予防サービス及び介護サービスの年間累計受給者数をみると59,685.5 千人となっており、そのうち介護予防サービス受給者数は13,267.3 千人、介護サービス受給者数は46,447.9 千人となっている。
  2. 要介護(要支援)状態区分の変化
    平成26 年5月審査分における受給者のうち、平成26 年4月から平成27 年3月の各サービス提供月について1年間継続して介護予防サービス又は介護サービスを受給した者(以下「年間継続受給者」という。)は、3,655.0 千人となっている。
    年間継続受給者の要介護(要支援)状態区分を平成26 年4月と平成27 年3月で比較すると、「要支援1」~「要介護4」において、要介護(要支援)状態区分の変化がない「維持」の割合が、およそ7割となっている。
  3. 性・年齢階級別にみた受給者の状況
    平成27 年4月審査分においては、認定者数6,200.8 千人、受給者数5,051.9 千人となっており、受給者を性別にみると、男1,512.8 千人(29.9%)、女3,539.1 千人(70.1%) となっている。
    また、認定者数に占める受給者数の割合をみると、男78.2%、女83.0%となっている。
    65 歳以上の各年齢階級別人口に占める受給者数の割合(平成26 年11 月審査分)を男女別にみると、「75~79 歳」以降の全ての階級において、女の受給者数の割合が男を上回っている。
2 受給者1人当たり費用額
  1. サービス種類別にみた受給者1 人当たり費用額
    平成27年4月審査分の受給者1 人当たり費用額は157.8 千円となっており、平成26 年4月審査分と比較すると0.6 千円増加している。
    サービス種類別にみた受給者1人当たり費用額をみると、介護予防サービスでは41.0 千円、介護サービスでは191.3 千円となっている。
  2. 都道府県別にみた受給者1 人当たり費用額
    平成27年4月審査分における受給者1人当たり費用額を都道府県別にみると、介護予防サービスは福井県が44.0 千円と最も高く、次いで沖縄県が43.9 千円、鳥取県が43.8 千円となっている。介護サービスでは、沖縄県が212.4 千円と最も高く、次いで石川県が205.4 千円、鳥取県が204.9 千円となっている。
3 居宅サービスの状況
  1. 利用状況
    平成27年4月審査分における平均利用率(居宅サービス受給者平均給付単位数の支給限度基準額(単位)に対する割合)を要介護(要支援)状態区分別にみると、「要介護5」65.4%が最も高く、次いで「要介護4」62.3%、「要介護3」58.6%となっている。
    また、要介護(要支援)状態区分別に受給者の居宅サービス種類別の利用割合をみると、(介護予防)訪問介護及び(介護予防)通所介護は、いずれの要介護(要支援)状態区分でも3割を超えている。(介護予防)訪問看護は、要介護(要支援)状態区分が高くなるに従って利用割合も多くなっている。
  2. 訪問介護
    平成27年4月審査分の訪問介護受給者について要介護状態区分別に訪問介護内容類型の利用割合をみると、要介護1では「生活援助」65.8%、要介護5では「身体介護」86.4%となっており、要介護状態区分が高くなるに従って「身体介護」の利用割合が多くなり、「生活援助」の利用割合は少なくなっている。
  3. 通所介護・通所リハビリテーション
    平成27年4月審査分の通所介護と通所リハビリテーションの受給者について要介護状態区分別の割合をみると、「要介護1」~「要介護3」の合計が全体の8割以上を占めている。
4 地域密着型サービスの状況

平成27年4月審査分における地域密着型サービス別の請求事業所数をみると、認知症対応型共同生活介護(短期利用以外)で12,776 事業所、小規模多機能型居宅介護で4,728 事業所などとなっている。

また、地域密着型サービス別に受給者の要介護(要支援)状態区分別の割合をみると、地域密着型介護老人福祉施設サービスでは、「要介護4」「要介護5」の割合が多くなっている。

5 施設サービスの状況
  1. 要介護状態区分別にみた単位数・受給者1 人当たり費用額
    各施設サービスの1年間の単位数は、介護福祉施設サービスが最も高く、次いで介護保健施設サービス、介護療養施設サービスとなっている。
    なお、要介護状態区分別にみると、介護福祉施設サービスでは「要介護4」「要介護5」の割合が多く、介護保健施設サービスでは「要介護3」「要介護4」の割合が多く、介護療養施設サービスでは「要介護5」の割合が多くなっている。
    また、平成27年4月審査分の施設サービス別受給者1人当たり費用額をみると、いずれの施設サービスも要介護状態区分が高くなるほど費用額も高くなっており、特に介護療養施設サービスではその差が大きい。
  2. 退所(院)者の入所(院)期間別割合
    平成27 年3月中に退所(院)した施設サービス受給者について、要介護状態区分別に入所(院)期間の割合をみると、介護福祉施設サービスでは、いずれの要介護状態区分でも「1年以上5年未満」の割合が最も多い。
    介護保健施設サービスでは、要介護状態区分が高くなるに従って、1年以上の割合が多くなっている。
    介護療養施設サービスでは、「要介護1」~「要介護3」では90 日未満の割合が5割を超え、「要介護4」「要介護5」では、「1年以上5年未満」の割合が最も多い。
給付費の推移
1 受給者の状況

(1)年間受給者数について

居宅サービスの中でも、訪問看護は前年(25年度)より7.1%増の年間実受給者数の伸びを示しています。訪問介護の2.9%を上回る増加率としては、通所介護6.4%、福祉用具貸与でも6.5%の増加率です。通所介護は予防の意識が高まっていることが要因として考えられますが、福祉用具貸与や訪問看護の増加傾向は、医療依存度の高い利用者が病院から在宅に戻っている現状を反映しているのではないでしょうか。訪問介護も微増とはいえ、在宅復帰した利用者の身体介護中心のサービスが増えているのはないかと思われます。

(2)要介護(要支援)状態区分の変化について

全体的には7割程度が「維持」となっていますが、気になるのは、25年度に「要支援1」だった利用者が26年度に「要支援2」となった割合が20%となっている点です。同じように「要介護1」だった利用者が翌年に「要介護2」に悪化した割合は18.4%で、軽度者の悪化傾向が目立ちます。その原因は何か、「維持」の7割の利用者との差は何か、そうした分析はされていないようです。

(3)性・年齢階級別にみた受給者の状況について

要介護認定を受けていても介護サービスを利用していない高齢者が2割程度います。今後この割合に注目する必要がありそうです。それは利用者負担額が2割になる利用者が利用を控えたり、認定を受けても利用しない(受給しない)高齢者が増えるのではないかという懸念があります。

2 受給者1人当たり費用額について

利用者1人当たりの費用額が157.8千円ということは、月額にして131,500円になります。これは居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスの利用者全体の数字です。3施設サービスの受給者(利用者)1人当たりの費用額は296.6千円ですから、月額にすると、247,200円です。

居宅サービスでみると、訪問介護の利用者1人当たりの費用額が70.9千円で、月額にして59,000円、通所介護の利用者1人当たりの費用額が91.2千円、月額で76,000円となります。

平成27年度4月以降、介護報酬の改定による影響があり、利用者1人当たりの費用額も下がることが予想されます。介護事業者としては、顧客の平均単価が下がることに対する対応策が必要になります。

訪問介護の利用者1人当たりの一月の費用額(=利用者平均単価)を、仮に60,000円として、サービス提供責任者2名で70件の利用者がいるとすれば、一月の売上額は4,200,000円となります。この程度の規模の訪問介護事業所でなければ、継続した運営が難しいのではないかと言えます。中重度の利用者が増えることにより、利用者1人当たりの月額費用額も高くなります。中重度の利用者を増やすには、身体介護のサービスが提供できなければなりません。

同様に通所介護の利用者1人当たりの一月の費用額は76,000円から5%前後下がるでしょう。小規模通所介護事業所では、それ以上に下がることが予想されます。

3 居宅サービスの状況

(1) 利用状況について

中重度者の平均利用率が60%超で抑制されていることが確認できます。支給限度基準額の範囲内でサービスをもっと利用したいと思っても、利用者負担分が支払える限度があるので、結果的に平均利用率60%程度になっていると考えられます。

(2) 訪問介護について

要介護1の利用者が利用する「生活援助」が65.8%、要介護5の利用者が圧倒的に利用しているのは、「身体介護」で86.4%という結果は、当然と言えます。しかし、「生活援助」を利用している要介護1の利用者数は303.6千人、要介護2の利用者数が285.5千人、合計589.1千人、これに対して、「身体介護」を必要としている要介護5の利用者数は99.4千人、要介護4の利用者数122.3千人、要介護3が159.6千人、合計381.3千人となります。要するに訪問介護を利用する6割の利用者が要介護1、2であり、そのうちの7割弱が「生活援助」を利用していることになりますので、介護給付費分科会で介護保険給付による「生活援助」の必要性が議論される機会があるのも何となく理解でます。

(3) 通所介護・通所リハビリテーションについて

通所介護と通所リハビリテーションの利用者のうち、要介護1、2、3の合計が全体の8割以上を占めていることから、年々介護予防の意識が高まっているのではないかと考えられます。全く別の見方をすれば、軽度者が通所介護を利用しているのは、本人の意志ではなく家族の要望によるレスパイト目的とも受け取れます。軽度者の声として多いのは、「家にいると家族に迷惑をかけるからデイサービスに来ている。」という不本意な利用も含まれていることは否定できません。

4 地域密着型サービスの状況について

地域密着型サービスについては、請求事業所数が顕著に増えているのが定期巡回随時対応型訪問介護で、1年間で385件から500件で115件増となりました。

しかし、認知症対応型通所介護の請求事業所数は、3,778件から3,787件と微増です。認知症対策が叫ばれる中で、ほとんど増えていないのはなぜでしょうか。

小規模多機能型居宅介護は、請求事業所数が4,444件から4,728件、1年間で284件と大幅に増えています。利用定員25から29に増枠されたことや新たな加算が新設されたことにより、事業運営の条件が緩和され、事業性が好転したことが増加の一因ではないでしょうか。

また、要介護(要支援)状態区分別受給者数の割合をみると、定期巡回随時対応型訪問介護の5割以上が要介護1,2と軽度者が占めています。これでは、事業として成り立たないのではないでしょうか。今後、中重度者が増えていくのか注目したいとところです。

5 施設サービスの状況について

特別養護老人ホームの入所要件が要介護3以上となりましたが、現実に「要介護1、2」の入居者は1割に満たない状況ですから、今後は徐々に軽度者が少なくなるでしょう。

一方、「要介護4、5」の入居者は全体の7割で、退所者の入所期間別割合も1年以上5年未満と5年以上を合わせると、7割以上になります。重度の入所者がより長期で入居する傾向は今後も続き、医療的対応が必要な中重度者も増えているのではないでしょうか。

詳しくはこちら

26年度介護給付費実態調査の概況

2015年8月11日掲載

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