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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

『平成27年度予算の編成等に関する建議(平成26年12月25日財政制度等審議会)』を読んで気になる一文

財政制度等審議会がまとめた建議が、この年末のドサクサ紛れの時期に出されました。
その建議の冒頭には以下の要請文があります。
平成27年度予算の編成等に関する建議
平成26年12月25日
財務大臣 麻生太郎殿
財政制度等審議会会長 吉川 洋
財政制度等審議会・財政制度分科会は、平成27年度予算の編成及び今後の財政運営に関する基本的考え方をここに建議として取りまとめた。
政府においては、本建議の趣旨に沿い、今後の財政運営に当たるよう強く要請する。

27年度の予算編成に止まらず、今後の財政運営に関しても基本的な考え方を示しています。勿論、先の総選挙で大勝した与党政府の意図している内容でもあることは、容易に想像できるでしょう。

さて、私が気になる一文は、77ページにおよぶ10項目の最初に「社会保障」について書かれています。「社会保障」は以下の順となります。(項目のみ転載)

(1)医療
①医療提供体制の改革
②医療保険制度改革 イ)保険給付範囲の見直しロ)負担の公平確保
③診療報酬・薬価

続いて、気になる一文がある介護について書かれていますので、全文を紹介します。

(2)介護
介護費用については、居宅サービスや18年度に新設された地域密着型サービスを政策的に推してきたこともあって、 足元の3年間では全体として年5%程度の高い伸びとなっており、これに伴い介護保険料が増加している。 報酬単価の抑制等の徹底した合理化・効率化を行いつつ、消費税財源を活用した地域包括ケアシステムの構築に向けた必要な政策対応を行うなど、 メリハリをつけた制度改革等を進めていく必要がある。
①27年度介護報酬改定
その一環として、27 年度の介護報酬改定においては、介護サービス事業者の経営状況や社会福祉法人の内部留保の状況を踏まえた基本報酬の適正化を行う一方で、 介護職員の処遇改善加算の拡充、24 時間対応の定期巡回サービス等の充実による地域包括ケアシステムの構築の推進等を進めるなど、 メリハリをつけながら、全体としてはマイナスとし、介護保険に係る国民負担の軽減を図るべきである。 なお、介護報酬の適正化1%当たりで約1,000 億円の介護費用が減少し、利用者負担、介護保険料、税金という形で国民負担の軽減につながる。 また、27 年度は、介護報酬改定の外枠で、低所得者の保険料軽減や地域包括ケアシステムの構築に向けた認知症対策をはじめとした医療介護連携の推進、 新たな基金による施設整備の推進等を行うこととしており、介護報酬改定だけでなくこれらを含めた全体像で議論していく必要がある。〔資料Ⅲ-1-7、- 24 -8参照〕
厚生労働省による直近の介護事業経営実態調査において、介護サービス全体の平均収支差率は+8%程度となっており、一般の中小企業の水準(+2~+3%)を大幅に上回っている。 国民負担によって賄われている介護報酬の水準がそれぞれのサービス提供に必要なコストを大幅に上回っているのは適当でなく、 介護報酬の基本部分については、サービス類型ごとの収支状況を適切に反映させ、全体としては一般の中小企業並みの水準となるよう、少なくとも▲6%程度の適正化を図るべきである。〔資料Ⅲ-1-9参照〕
また、当審議会としては、特別養護老人ホームの約95%を経営する社会福祉法人において、 巨額の内部留保が蓄積されていることをかねてより指摘してきたが、本年10 月に公表された財務省予算執行調査においては、 改めて特別養護老人ホーム全体で約2兆円、1施設当たり3億円の内部留保が蓄積されている事実が確認されたところである。 介護保険料負担や利用者負担などの国民負担を原資として、内部留保を徒に蓄積させることは適当でなく、 今般の介護報酬改定に当たっては、社会福祉法人の内部留保が現在の水準から更に蓄積しないよう、 特別養護老人ホームなどの報酬の基本部分を大幅に引き下げる必要がある。 他方で、課題となっている介護職員の処遇改善については、厚生労働省の調査によれば、これまでの累次の取組みにより、 21年度以降、介護職員の給与を月額約3万円相当引き上げる効果があったとされているが、 処遇改善加算の拡充という形で報酬の基本部分とは別枠で措置することにより、引き続き、事業者に追加の負担を求めることなく、介護職員の更なる処遇の改善を図ることが可能となる。 地域包括ケアシステムの構築に向けて介護職員の確保が不可欠であること、 介護サービスは人件費が過半を占める労働集約的な事業であり、介護職員の処遇改善を図ることにより、介護サービスの質の向上を目指すことが出来ることを踏まえ、 消費税財源を活用して現行の処遇改善加算を拡充することにより更なる処遇改善を図る必要がある。〔資料Ⅲ-1-10 参照〕
なお、介護報酬の基本部分について、平均収支差率を現在の+8%程度から一般の中小企業並みの水準(+2~3%)まで▲6%程度引き下げたとしても、 全体として適正な収支差率は確保されることから、現行の人件費の水準に影響を与えるものではなく、国民負担の軽減と介護職員の更なる処遇改善の両立を図ることができる。
②社会福祉法人の内部留保の活用
社会福祉法人の内部留保については、「規制改革実施計画」(26 年6月24 日 閣議決定)に基づき、 内部留保の活用に向け、社会福祉法人に対する社会貢献活動の実施の義務付けについて検討が進められている。 社会福祉法人は公益性の高い社会福祉事業の実施主体として、国から補助金の交付を受けるほか、原則非課税とされる。 一方で、事業から生じた剰余金の法人外への支出・処分が禁止されるとともに解散時の残余財産は国庫に帰属することが法定されている。 こうした社会福祉法人の財務規律に鑑みれば、公費や保険料(以下公費等)より生じた剰余金及びその蓄積である内部留保は、 本来、国庫返納や報酬改定時の剰余分の控除を行うべき性格のものである。 したがって、その内部留保の活用にあたっては、営利法人とは異なり、強い公的規制を受けて然るべきであり、 社会貢献活動の実施の義務化に当たっては、使途が適正なものとなるようにすべきである。 このため、公費等を原資とした内部留保については明確に区分経理することを求めた上で、 それらは公費等を充てて現に実施している事業に対して適正に再投資することを基本とし、他の事業に充てられて消費されることのないようにしなければならない。 さらに、社会福祉法人の内部留保の活用状況について引き続きフォローアップを行った上で、 内部留保の活用状況や社会福祉法人に対する課税の議論も踏まえつつ、必要に応じ、内部留保の国庫返納などを視野に入れた対応を検討すべきである。
③次期介護保険制度改革に向けた課題
総論で既述したように、介護給付費は今後とも相当程度の伸びが見込まれており、介護保険料をはじめとする国民負担を抑制し、制度を持続可能なものとするため、 次期介護保険制度改革において、現行の介護保険でカバーしているサービス範囲を抜本的に見直すとともにより効率的なサービス提供体制を促していく必要がある。 この観点からは、例えば、軽度者に対する訪問介護の大部分は掃除や一般的な調理・配膳を中心とした生活援助であるという実態などを踏まえれば、 訪問介護・通所介護の予防給付が27年度以降順次地域支援事業へ移行する状況も踏まえつつ、軽度者に対する給付の地域支援事業の移行などについて検討していく必要がある。 その際、軽度者に対するサービスを効率化する必要がある。
また、介護サービスの価格については、介護報酬の範囲内で自由に設定できる仕組みとされているが、 サービス価格が報酬の上限に張り付いている実態にある。在宅サービスについて、引き続き自由な参入を可能とするのであれば、サービスの質を確保しつつ、 確実に価格競争が行われる仕組みを構築すべきである。さらに、負担の公平性の観点から、利用者負担の見直しや、介護納付金の総報酬割についても検討していく必要がある。 介護療養病床については、29年度末までに廃止されることになっており、医療の必要度に応じた機能分担を推進するとの考えの下、着実に改革を進めていくべきである。

最後の「③次期介護保険制度改革に向けた課題」の最初の数行に、 平成30年の法改正では相当の大きな制度の見直しを予告しています。 その数行後にも、具体的に軽度者へのサース提供についても触れていることから窺えるのは、重度者中心に対応する介護保険サービスへの移行を示唆しているとも受け止められます。
これが、医療と介護の連携なのかと思わず納得してしましました。

※参照 平成27年度予算の編成等に関する建議(平成26年12月25日財政制度等審議会)

2014年12月28日掲載

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