介護コンサルティングネット:有限会社業務改善創研|介護コンサルタント福岡浩

介護コンサルティングネットへのお問い合わせ

利用者本位のサービスを実現するために、介護事業運営の仕組みを改善します。

ホーム2014年4月のコラム(2)

有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

個人商店的介護事業所の功罪

どこかの政党が選挙資金問題で「個人商店」だと言われていますが、ワンマン経営とはやや意味合いが異なるような気がします。 個人商店とは、言い換えれば個人事業主と同じ意味に解釈できます。 個人事業主に対して法人という組織があります。

介護保険法で定める介護事業者はすべてが法人格であり、株式会社のように営利目的法人もあれば、非営利活動法人、社会福祉法人などもあります。

さて、介護事業所とりわけ居宅サービス事業所は、その法人が運営していることになっていますが、 事業所の管理者は、経営者本人または雇用された人がなります。 他に事業所職員が何名かいますので、一応一つの組織を形成しています。 しかし、なぜか「個人商店」的な運営が行なわれていることがあります。

具体的にどういうことか。 十数年運営されているある訪問介護事業所には 利用者が70名、サービス提供責任者が3名、訪問介護員も40名余り在籍しています。 ここ3年ほど利用者数は増えもしないが減りもしない状況が続いています。なぜでしょうか。 当然の如く毎月の売上額もほとんど増減に変化がありません。 経営者としてはこれで満足しているわけではありません。

ここにあるのは、管理者の「個人商店」的運営手法です。 外部の居宅介護支援事業所のケアマネジャーからかかってくる電話はすべて管理者指名です。 管理者不在でも伝言は「折り返しテレ」です。

真面目で責任感が強い管理者ほど、業務のすべてを掌握し采配しようします。 必然的に管理者の個人的なネットワークが前面に出るために、限定されたケアマネジャーとの連携に偏っています。 従って、「○○介護サービスに依頼する」ではなく、「□□さんの事業所に依頼する」ということになります。

ここで誤解がないようにしたいと思います。この「個人商店」的事業所運営が間違いというわけではありません。 事業所を立ち上げた当初は、まさに「個人商店」的運営しかないと思います。 個人の信頼=事業所の信頼で、強力に運営を推し進めていたのでしょう。

しかし、時が過ぎて事業所の規模が徐々に拡大していく過程で、 運営方法にギアチェンジがないとそのまま「個人商店」的運営を続いてしまうのです。 もっと分かりやすく言えば、人を育てる視点が欠如しているから、いつまでも管理者の独壇場で運営されているのです。 管理者はいつしか自分が「やりやすい運営」に陥ります。 言い換えれば、楽な運営方法を知らず知らずのうちに身につけてしまいます。 その結果、自らが事業所全体の責任を負っていることの裏返しで、対外的に個人名が先行し、事業所名が後方に置き去りになります。 その良い例が、事業所名を名乗ることが少なくなっていることです。 ケアマネジャーに電話をする際にも、いきなり「□□です。先ほど電話をいただきまして・・・・・」となります。 本来ならば、「○○介護サービスの□□です。」と言うべきですが、管理者の意識は個人そのものです。 組織の長という感覚が全くなくなっていると言わざるを得ません。

悪いことに、このような状況は無意識に進行していくことが多いので、経営者や上長が気づいた時には手の打ちようがない状態になっていることもあります。

2014年4月15日掲載

「介護コンサルタント福岡浩のコラム」の先頭に戻る