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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

介護事業従業者の「教育」と「育成」をどう考えるのか

先日、ある介護事業所の管理者と雑談している時に、介護職員の研修、指導の話題になりました。 その管理者は、毎月必要な研修項目を決めて実施していると話していましたが、 「その研修の成果が確認できていますか。」という質問に明確な答えがありませんでした。 単に運営基準で求められているから研修を行っているという旨の話がありました。

さて、研修と一口に行っても様々な目的によって内容も異なります。 新任従業者であれば初任者研修とか新人研修という題目で、予め研修カリキュラムが決まっているでしょう。

この研修は、「教育」なのか「育成」なのか。 国語辞典によれば、「教育」とは『一般的に(その面の)知識や技能の習得、社会人としての人間形成などを目的として行われる訓練』となっています。 (その面の)とは、介護ということになります。
一方の「育成」という言葉は、『立派に育て上げること』(例えば、「後継者を育成する」という意味で使われます)。

介護業界では、研修の実施は「教育」に当たり、介護の知識や技能の習得が中心的な目的になっていて、社会人としての人間形成は目的になり得ないのでしょう。 大手介護会社の一部を除けば、ほとんどの介護事業会社は中途採用や他業種からの転職者を採用しているので、 大卒、高卒、専門学校卒を採用することが少ないようです。 そういう意味でも「育成」する必要がないと思われているのでしょう。

最近はあまり聞かなくなったのが、「後進の育成」という言葉です。 介護現場の従業者の職場定着率が低いから、「後進の育成」は想定しなくなったのでしょうか。 介護現場で働く人たちの職場定着率が低い原因が、給料が安いからだという意見をよく聞きますが、本当にそれだけでしょうか? この職場でずっと働きたいと思わないのには、単に給与水準が低いだけなのでしょうか。 5年後、10年後の自分が想像できる職場でなければ、そこでずっと働こうとは思いません。 尊敬できる先輩や上司がいて、自分を育ててくれているという実感がない、同僚がすぐに辞める、職員が定着しないから自分に負担がかかっている、という現実的な声を耳にすることがあります。 また、時にはそのような相談もあります。

「教育」と「育成」は、そもそも別なものと捉える必要はないだろうか。 従業者は自分のための「育成プログラム」が用意されているか否かで、少なからずモチベーションが変わります。 将来のあるべき姿やなりたい自分があり、それに近づく道のりが見えていることは大切です。

一方、「教育」は、担当する業務に必要な知識や技術を身につける研修等(外部研修も含む)であり、介護サービスの質を向上させるためには必須です。 しかし、研修を実施していれば、それだけでよいわけでありません。 研修後にその効果を測定したり、個々の従事者がその業務において力量を発揮しているかどうか具体的に確認することも必要になります。

大手介護会社の一部を除く大多数の介護事業経営者や管理者で、「教育」と「後進の育成」を正しく理解し、 計画的に研修を実施して、さらに「後進の育成」を中長期的に計画して個々の従業者の育成進度を把握している経営者はどのくらいいるのでしょうか。 経営者は事業を興したら何をすべきなのか、経営に関する本を読むと、必ず「人材の育成」とあります。 介護、医療、福祉分野に限らず、「人材の育成」に力を注ぐ経営者がもっと増えてほしいものです。

2012年12月2日掲載

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