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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

介護サービス情報の公表制度はどうなるか

介護保険制度施行後の最初の法改正により平成18年4月から始まった「介護サービス情報の公表制度」は、 次期法改正を議論する過程で大きく見直されることになりました。 毎年度、指定介護事業者は、 介護サービス情報の公表とともに公表しようとする情報に不備や間違いがないかどうかを確認するための調査を受けることなどが義務付けられていますが、 24年度以降は義務付けが廃止の方向で検討され、合わせて公表に要する公表手数料や調査手数料の徴収もなくなるか減額されることになりそうです。

これに対して、事業者側の意見は大きく二分しているように感じます。 「年に1度、事業所が介護サービス情報を公表することで、事業所にとっては振り返りの良い機会だ」という考え方がある一方、 「そもそも毎年、調査を受けるためにおカネと時間をかけるのは大きな負担になる」という意見もあります。 また、介護サービス情報公表センターのホームページに掲載されている事業所情報は閲覧し難いし、 本当に利用者が情報を活用しているとは思えないという意見も多く聞かれます。 一方で、国や県から聞かれるのは、 「この制度は今活用されることを目的としているのではなく、5年、10年かけて事業所とともに制度そのものをより良いものにしていくことが重要だ」 という旨の考えです。

先日、神奈川県では介護サービス情報公表の調査員を集めて、 国が目指している制度の方向性や神奈川県としての新たな「サービス選択支援システム」(利用者の利便性を重視した)の構築に向けて 準備していることについて、説明会がありました。 事業所に対する調査、公表の義務付けがなくなれば、制度そのものの存在意義も薄れるのではないかでしょうか。 神奈川県としては国のお仕着せの制度とは別に、独自に利用者の選択に資する仕組みを考えた結果、 新たな「サービス選択支援システム」を施行することを目指しています。

ところで、介護事業者を指導する神奈川県介護保険課指導グループは 新年度には職員を増員し実地指導や集団指導の充実を図るとしています。 これは、介護サービス情報公表制度が24年度から実質的に事業者への義務付けがなくなることを意識した対応なのかは定かではありませんが、 県内にある約10000件もの介護事業者を数人の指導スタッフで実地指導にあたっている現実を考えると、 例え10名の職員でも追いつかない業務ではないかと思われます。 しかし、この指導業務を公表制度の調査経験者である調査員を臨時に採用して、 実地指導に振り向けることも検討していることを示唆する県職員の発言もありました。

平成18年4月から始まった「介護サービス情報の公表制度」は、 次期法改正を議論する過程で大きく見直されることになりましたが、 そのきっかけは、前厚生労働大臣の発言でもあります。 昨年7月6日に、「介護サービス情報の公表制度に係る手数料負担を廃止することも含めて抜本的な見直しを行うように事務方には指示をしております」 という記者発表にあります。 元々、厚生労働省では、介護サービス情報の公表に係る手数料が介護給付費に含まれていると説明していましたので、これは大きな矛盾となります。

しかし、24年度以降は、介護サービス情報の公表制度が、制度としては存続するようですが、 その内容は大きく変貌することになります。 しかも、都道府県によって、その対応はバラバラになる可能性もあります。 そのような状況下で神奈川県は独自の「サービス選択支援システム」(利用者の利便性を重視した)を県条例に基づき施行することになるでしょう。 同時に、指導・監査の強化も合わせて推進する方向性が見えてきました。

2011年3月21日掲載

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