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有限会社業務改善創研のコラム(介護コンサルタント福岡浩)

介護コンサルタント福岡浩のコラム

介護保険法改正の議論最終とりまとめ

1.厚生労働省社会保障審議会介護保険部会の取りまとめ

11月25日(金)社会保障審議会介護保険部会(山崎泰彦会長)が開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見(素案)」をまとめました。 前回の部会(19日開催)で示された素案に一部修正(削除・加筆)を加えたものになりましたが、 内容は、部会委員の意見を集約することが出来ず、各委員の属する利益団体などの要望、意見を列記した形になり、 最終的な意見取りまとめを山崎会長に一任することとなったようです。

注目すべきは、「要支援者・軽度の要介護者へのサービス」(素案P10)や「ケアマネジメントについて」の利用者負担の導入(同P20)に関する内容では、 削除と加筆が多く、部会内の苦悩が滲み出ていると言えます。

素案全体から何が読み取れるかと考えると、何もないに等しいと言わざるを得ない。 ただし、文面の中には、「○○すべきである」とか「○○が必要である」などの表現で終わる箇所は、 部会内の意見対立がさほどなかったと推察できます。 逆に「○○すべきという意見があった。一方、△△との意見があった」という箇所があり、 部会の意見集約が出来なかった項目の多さに、これでは意見をまとめたとは言えないのではないかと感じました。

今年5月から13回に及ぶ部会を通じて、議論を尽くしたかどうかを検証するまでもなく、 「素案」を読む限り、介護保険制度がどのように改正されるのか、益々わからなくなりそうです。 結果的に山崎会長に一任する形になり、今後、徐々に改正法(案)の全貌が見えてくるのでしょう。

2.利用者本位から遠ざかる制度変貌

新聞やテレビなどの報道でも取り上げられていたように、 制度施行当初に比べ利用者本位の介護サービスが次第に削り取られているという印象が強く、 次期法改正ではさらに利用者本位の理念が損ねられる様相を呈しています。 特に要支援者や軽度の要介護者の利用者負担を、例えば二割に引き上げるべきだとする意見と、 これと真っ向から反対する意見とが併記されていることから、部会長が二者択一を迫られていることになります。 山崎会長の考えは、恐らく前者ではないかと思われます。 それは、11月18日に開かれた横浜市主催の「介護の日記念フォーラム」での講演や横浜市介護保険運営協議会(11月9日開催)での発言の内容から推察できます。

仮に、要支援者や軽度の要介護者のサービス利用に制限が加えられればどうなるのかは、 介護現場で直接利用者に関わっている介護職員や介護支援専門員の方々がもっともよくわかるのではないでしょうか。

3.介護事業者はどう対応すべきか?

平成24年4月施行予定の介護保険法の改正法は、その法案を審議するのが年明け早々の通常国会です。 法案をまとめるために13回の介護保険部会が開かれ、議論してきましたが、最終的には様々な意見を併記した素案になり、閉会後の会長一任となりました。

さて、素案を読みながら、介護事業者は今後どう対応すべきかを考える必要がありますが、 考えるための材料が少なく、事業者の方々からは「そんなことを考えても無駄でしょう。なるようにしかならないから。」と言われそうです。

ただし、個人的に少々気になるのは、都道府県が行っている「指導・監査」が自治体間で不整合が生じているという指摘があり、 これは以前から課題となっています。 今回の素案には、指導業務の一部を「指定法人」に委託すべきであるという意見があります。 以前にはそのような意見はなかったと記憶していますので、介護サービス情報の公表制度を見直し、介護事業所への調査をしないことになれば、 その代わりに実地指導や監査をさらに充実させようとする動きはあり得るでしょう。 いずれにしても「指導・監査」の目的は、法に基づいた事業運営が行われることであり、 サービスの質の向上に資するために行うものです。 しかし、給付抑制の観点からは、意図的ではなくとも事業者数を減らす方向性を模索しても不思議ではありません。

そうなると、益々、介護事業者は「指導・監査」に耐え得る事業運営が求められます。 日々提供されるサービスのプロセスの整合性を維持、向上させるとともに、中長期的な事業運営の方向性を明確にしたいものです。 それには、今回の法改正の中身を十分に見定める必要があると思います。

2010年11月28日掲載

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