参考資料「介護保険制度の現状について」を見ながら、改正議論となりそうな論点を探りましょう。
厚生労働省からは議論の基本的な論点として、次の点が示されました。 「サービス体系のあり方(地域包括ケアの実現)」として、
の5項目を挙げ、また、「持続可能な制度の構築」としては、
となっています。
話が少し本題から外れますが、いつのころからか、「在宅」を自宅だけではなく、 「要介護者が生活する場」であるとする解釈を持ち出し、 例えば、「高齢者専用賃貸住宅」のようなものも「在宅」だと言うことになりました。 何かすっきりしない気がしますが、「居宅」でも「在宅」でも、差ほど意味は変わらないとしても、 自宅だけではない根拠が曖昧のように思えてなりません。 42万人の施設入所待機者がいるので、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの 施設サービスの充実を図るだけでは、とても42万人を入所させることは不可能な話です。 「在宅」の解釈を広げて、自宅ではない住まいも「在宅」とするのは、それなりに意味があるのでしょう。
次に、④の「介護職員の資質の向上」については、 前回(平成18年)の法改正前に「サービスの質の確保・向上」という改正の方向性が示されていました。 同じような意味でありながら、今回は表現を変えたのはなぜだろうか、少々疑問が残ります。 「サービスの質の確保・向上」のためには、「介護職員の資質の向上」は必須項目です。 そのために「介護職員処遇改善交付金」もバラまきました。 しかし、その結果、サービスの質は向上したのでしょうか。
⑤の「認知症を有する者に対するサービス確保」に関しては、 前回の法改正で始まった「地域密着型サービス」がどの程度、効果をあげているのか、その検証が必要です。 小規模多機能型居宅介護や認知症対応型通所介護、 認知症対応型共同生活介護などのサービスの充実度はどのレベルに達しているか、 わかりやすい評価を期待したいところです。
予防重視型システムは本当に効果をあげているのか、 地域で支える介護、いわゆる「地域密着型サービス」や「地域包括支援センター」は十分に機能してきたのか、 サービスの質の確保・向上のために制度化した「介護サービス情報の公表」の効果はどうなっているのか。
デイサービスでは、介護予防サービスの利用者と介護サービスの利用者を 明確にわけてサービスを提供している事業者は少ないのが現状です。 これで本当に介護予防サービスの効果が期待できるか疑問が残ります。 地域密着型サービスである夜間対応型訪問介護や小規模多機能型居宅介護の普及が遅れている背景には 様々な問題がありそうですが、次期法改正では見直しが行われ、改善が図られるのでしょうか。 また、地域包括支援センターの地域格差が生じている問題や地域を十分に把握できないセンター、 三職種の人材が安定しないセンター、 地域の介護事業者、医療関係者との連携が限られた範囲に留まっているセンター等々、課題は山積します。 サービスの質の確保・向上のための施策としては、事業者の指定更新制や介護サービス情報の公表などによって、 どの程度の効果が得られているかはその測定が難しいと言われています。 事業者の指定更新制が導入されたことによって、本当にサービスの質が向上したのか、 また、介護サービス情報公表センターのホームページへのアクセス件数だけでは、 その効果を判断できないが、その効果をどう測定するのか。
2010年6月21日掲載
※社会保障審議会介護保険部会(部会長:山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授)
『介護給付費分科会』が主に介護報酬に関する審議を行う会であるのに対して、介護保険部会は介護保険制度そのものについての審議を行う会です。 24年の改正法施行に向けて今後は、次期通常国会(平成23年1月開会)における介護保険法改正案の提出のために、 月1~2回程度開催、介護保険法の見直しや改善を行うべき点を議論し、11月をめどに部会の意見の取りまとめを行う予定です。
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