さて、「御苦労さま」と「お疲れさま」という言葉の使い分けは、 ビジネスマナーとして初歩的な心得だと思っていましたが、介護現場ではそうでもないようです。 介護業界に限らず、一般の中小零細の会社組織でも、社員、従業員の間で曖昧に使われている傾向があるのが、 この「御苦労さま」と「お疲れさま」です。
一般的に「御苦労さまです」という表現を使うのは、 自分に対して直接、間接的に益をもたらす労働や作業に従事した人を労うときに用いられています。 訪問介護サービスを提供するヘルパーさんがサービス提供を終えて要介護者の家を出る時に、 その要介護者であるお客様から、「今日はお部屋をきれいにしていただいて、御苦労さまでした。」という 労いの言葉をかけることはあれば、その使われ方は正しいと言えます。
「お疲れ様です」が比較的身分に中立的に用いられるのに対して、 「ご苦労様です」は「奉仕」というニュアンスが伴って、目上から目下に対して用いられる傾向が強くなっています。 特に会社などではこれを目上に対して用いないことがマナーとして確立しているようです。
女性が多い介護現場では、この「お疲れ様です」、「お疲れ様でした」の方が、不自然さがないと感じます。 事務処理や会議などで、いつもより退社時間が遅くなった時に、「今日は遅くまで、お疲れ様でした。」と、 声をかけ合う介護事業所はどれくらいあるのでしょうか。 管理者やサービス提供責任者であっても、 ヘルパーさんには、「御苦労さまです」より「お疲れ様です」の方が、好感がもてる気がします。
「お疲れさま」も「ご苦労さま」も、これに一言付け加えると、 それぞれの言葉の効果が高まると思います。 例えば、前述の「今日はお部屋をきれいにしていただいて、御苦労さまでした。」という労いの言葉には、 何に対して感謝しているかが分かりやすいので、ヘルパーさんは人の役に立てて良かったと感じるのでしょう。
「ご苦労さま」や「お疲れさま」の他に、「一緒に手伝ってくれてありがとうございます」とか、 「あなたが手伝ってくれたから助かりました」などの言葉掛けは重要です。 しかし、言葉掛けは、使い方を間違えると逆効果になります。 従って、「お疲れさま」というべき相手と場面を正しく理解しておく必要があります。
気をつけなければならないのは、「ご苦労さま」や「お疲れさま」の遣いどころを知らないで、 思い思いに各自が、「ご苦労さま」と言ったり、 「お疲れさま」と言っていることです。 こんなことも教えていない事業所の管理者が、まだまだ多いのが現実です。
2009年10月27日掲載
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