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介護コンサルタント福岡浩のコラム

「営利と非営利」

自由主義の国家体制の下では、一定のルールに従う前提で利潤を追求する企業活動が自由に行われています。 介護保険制度の施行以前は、営利目的の福祉、介護サービスの民間会社はほとんどなかったと記憶していますが、 介護保険制度施行後には、営利、非営利にかかわらず法人格であれば、 基本的に介護保険サービスを提供する事業に参入できるようになりました。

さて、利潤を追求するかしないかの違いだけで、 株式会社のような企業法人と(特定)非営利活動法人とがあります。 両者は基本的に同じ条件で介護保険サービスを提供する事業を運営しています。 しかし、事業活動の結果において、株式会社は納税しなければならず、非営利活動法人はこの限りではありません。 法人形態には、社会福祉法人や医療法人、社団法人、財団法人等々、様々な法人があります。 これらを含めた話になると複雑になるので、営利、非営利に限った話をしましょう。

『営利か非営利か』という違いが、それぞれの言葉から受ける印象に大きな差がありそうです。 例えば、営利法人だから「儲け主義」だとか「利益追求の会社」といった先入観を持ちやすいのが福祉、介護の業界には厳然としてあります。 一方、非営利法人だから、「利益を求めない健全な法人」とか「利益追求しないから良心的な組織」だとか、 外見的な印象で思い込みが増幅する危険性があります。

『営利か非営利か』というだけであって、健全な組織体制かどうかは全く別の問題です。 良心的な法人かどうかもわかりません。 さらに、『営利か非営利か』は、組織としてのマネジメントの良し悪しを図るスケールでもないのです。 また、営利が悪で、非営利が善でもないことは言うまでもありません。 介護サービス事業者の一部には、 特定非営利活動法人(NPO法人)のイメージを利用して事業を展開しようとしている場合もあり、発想力の貧困さを感じます。 また、介護サービスは儲からないから非営利法人の方が良いのではないかと思っているNPO法人の理事長もいるようです。

先ごろ、火災で不幸にも多数の死傷者を出したグループホームの経営母体もNPO法人でした。 その理事長は過去に何回か事業に失敗した経験があるという報道もありました。 それが事実かどうかは別としても、違法な建築物による施設経営が悲惨な結果を招いたことは明らかです。

結論的に、介護事業に限らず組織の健全性は、経営母体が営利か非営利かが問題ではなく、 むしろ、その経営理念、方針や理事長や社長の人物象、創業の経緯などに因るところが多いにありそうだと思います。

ところが、なぜか厚生労働省は2007年度から営利法人の運営する介護サービス事業所に対する監査を進めています。 これは、『経済財政改革に関する基本方針2007』(平成19年6月19日閣議決定)により、 「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」において、 「平成20年度から平成24年度までの5年間で営利法人の全ての介護サービス事業所に対し指導監査を実施」することとなりました。 さらに昨年7月に各都道府県や指定都市、中核市に対して、 具体的な実施方法について定めた「営利法人の運営する介護サービス事業所に対する指導監査の実施について」を通達しています。

介護保険制度下では、事業者の法人形態にかかわらず所轄の指定を受けて介護保険サービス事業者となりますので、 その意味ではその後に指導監査等において、明らかな差があるのは違和感が残ります。 私以上に納得できないのは、営利法人の介護事業者の皆様ではないでしょうか?

2009年4月1日掲載

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