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『介護給付費の見直し』と次期介護保険法改正

前回(平成18年度)の介護給付費見直しと同様に、 介護事業者がずっと気になっていた今回(平成21年度)の介護給付費分科会の答申が、昨年12月26日に発表されました。 初めから期待していないから、「やっぱり・・・・・」とか、「こんなもんかなぁ?」っていう感じでしょうか。

さて、今回の『平成21年度介護報酬改定の概要』(12月26日介護給付費分科会配布)だけをみても率直に感じることは、 加算のバラマキに終始したということです。 多くの介護事業関係者の方々、とりわけ介護現場に近い方ほど、報酬改定の内容には落胆されたのではないでしょうか。 介護事業経営者の方々によっては、加算をどうやって取ろうかと思い巡らしているのではないでしょうか。 訪問介護の短時間サービスが少々上がった程度で、 その他はほとんど変わらなかった現実に裏切られた思いが残るのでしょう。

前回の報酬改定の時も同じように改定内容に一喜一憂しただけで、 事業そのものの見直しはそれほど真剣に行った事業者は少ないと感じました。 今回もまたその繰り返しならないよう、しっかりと報酬改定の裏側を読み取っておく必要があります。 それは、次の介護保険法改正へのプロローグでもあります。 奇しくも某協会の講演で厚生労働省老健局振興課の役人が発言したように、 『今回の改定は暫定的なもので、我々も手詰まり感がある』という旨の弱音が聞こえました。

加算のバラマキに満ちた今回の介護報酬改定は、これから3年だけかも知れません。 私はその可能性が高いと思えてなりません。 特にケアマネジャーの方々は、今回の加算の内容をどう受け止めているのか、 私なら「相当に馬鹿にされた」報酬単価になったと感じます。 ケアマネジメントを正当に評価するには、あまりにも取ってつけたような加算体系であり、 これでケマネジャーの質が高まるとは思えないのです。

実は、前出の『平成21年度介護報酬改定の概要』よりも重要な資料が同日の介護給付費分科会で配布されました。 それは、『平成21年度介護報酬改定に関する審議報告』(平成20年12月12日)です。13ページにわたる報告書は、 分科会座長を中心に各委員も了解しているはずの内容です。 特に最後のページに記された『Ⅲ今後の方向性について』のなかに、 提言というより厚生労働省への要求とも受け止められるものが5項目あります。 まず第一に「今回の介護報酬改定が介護従事者の処遇改善につながっているかどうかという点についての検証を適切に実施すること」となっています。 これは必ず検証すべきであるという強い要望がにじみ出ていると受け止められます。

第二に「介護サービスの質の評価が可能と考えられる指標について、検討を行うこと」と、 いうのはどういう意味なのか、厚生労働省老健局は、かなり難しい宿題を突き付けられました。 裏を返せば、今もって「評価可能な指標がない」という前提で、検討しなさいと言い放っていると解釈できます。 第三、第四は省略します。

最後に、「今回の介護報酬改定後の事業者の経営状況にかかる調査を踏まえ、 補足給付や介護サービス情報の公表制度について必要な検討を行うこと」としています。 これも相当に手強い宿題として、厚生労働省老健局にプレッシャーとなればよいと期待したいところです。

私なりの結論を申し上げれば、今回の報酬改定よりも次期の改定や法改正が重要で、 同時に診療報酬改定とも重なり、それがどのような方向性をもって検討されるのか、 関心をもって情報収集し早めに事業の運営全般を見直し、方向性のベクトル合わせが必要だと思います。

介護のプロでも経営の素人では、中長期的にはこれから益々介護事業経営が難しくなることだけは明白です。 新しく示された報酬単価に一喜一憂しているだけでは事業経営の改善にはなりません。

 

2009年2月4日掲載

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