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2008年12月のコラム
100年に一度の大不況と介護給付費3%増

年末を控えて製造業各社は、自動車業界はじめ家電メーカーなどが派遣労働者や期間工員などを軒並み解雇すると発表しました。 アメリカでも3大自動車メーカーへの公的資金注入で議会がもめています。 その影響か円高が1ドル=88円まで進みました。ここまでの話は新聞、テレビで報道の通りです。

誰もがおかしいと思うことは、派遣労働者を解雇しようとしている製造業では人員が余り、 介護業界では相変わらず人手不足が深刻です。 政府や与党が介護給付費を3%上げれば何とかなると思っているほど簡単な話ではないようです。 産業構造が変化している中で労働力のミスマッチを解消するような抜本的な施策は全く打ち出されていません。

知人の某自動車メーカー幹部曰く、『派遣や期間工を解雇するだけでは済まない。 正社員の早期退職勧告もやるし、幹部社員の年棒もカットすることになるだろう』と。 新聞やテレビが報道している以上に問題が大きく、長期化する可能性がありそうです。 しかし、公務員の年末賞与は僅かばかりのカットで、税収の落ち込みを反映しているとは思えません。 政府や行政の経済動向に対する鈍感さが如実に表れていると言わざるを得ません。

その鈍感さの極みが、介護従事者の処遇改善策として打ち出された『介護給付費3%増』です。 計算するのもばかばかしくなりますが、20万円の給与をもらっている介護職員が6000円増えるからと言って、 処遇が改善したと感じるだろうか? 時給1000円の訪問介護事業所のホームヘルパーが、時給で30円増えたと言って喜んでいるだろうか?

30%だったら話は別です。それなら、自民党も次の総選挙に期待が持てるでしょう。 介護給付費を3%上げるということを決めたのは、与党自民党であり、介護給付費分科会ではなかったことも問題です。 分科会の委員からも大クレームが吹きあがったようです。 介護給付費分科会の存在意義さえ否定されかねないような唐突な決定に委員の方々からは抗議の声が上がったのは当然です。 9月から毎週のように議論を積み上げてきた最後の詰めの段階で、全く予想もしていないところから3%上げるという話が噴き出したことに対して当事者でなくでも不思議に思います。 結局、辻褄合わせになっていくようですが、3%は既成事実化してしまったのでしょうか。

さて、100年に一度の大不況と騒ぎたてながら、その緊急対策はどこかずれた感覚があるように感じるのは私だけではないと思います。 派遣法が制定された時は、今回のような事態を想定してなかったのでしょうか。 派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」です。 就業条件の整備が、企業側に有利な条件であって、労働者には不利な条件だったとすれば、起こるべくして起きた事態だとも言えます。 企業の競争力強化のためには、人をモノのように扱ってもいいというようなことを法律で決めたからこんな事態になってしまったと感じます。 同じように、介護や医療は大事な社会システムであり、高齢社会には絶対不可欠な制度として始まった介護保険制度や医療保険制度も、財源がないからと言って抑制していたから、 介護や医療の現場から人材が逃げ出してしまったのです。 それで、慌てて介護給付費を上げなくではならないと思い、思い付いたのが3%上げるということなのでしょうか。

派遣労働者の大量解雇が始まり、来年は相当の失業率になるという予測もなり、 失業者の増加が続くという予測もあります。 政府が企業側に解雇しないよう注意したところで、何か効果があると期待できるものではありません。 また、介護給付費を3%上げても介護職員が増えると思っている人はいないでしょうが、それを決めた人だけが、介護従事者の処遇改善になったと思っているのでしょう。

最近、政治家や国会議員の多くは『認知症』ではないだろうかと思えてなりません。 言ったことを忘れたりする記憶障害による症状や、 段取りが分からなくなり、次に何をしたら良いかわからなくなったりする実行機能障害による症状は、 明らかに認知症の初期症状です。

2008年12月14日掲載

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