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2008年8月のコラム
管理と管理者

介護保険制度の下では、指定介護事業者(施設も含む)が運営する介護事業所や施設には必ず管理者が配置されています。 その管理者が行うべき業務が行われていない事業所が多いことが気になっていましたので、 今回は、そもそも、『管理』とは何かということから考えてみたいと思います。

辞書によると、『管轄・運営し、また処理や保守をすること。 取り仕切ったり、よい状態を維持したりすること。』とありました。 これにあてはめてみると、 介護事業者の場合には『介護事業(訪問介護などのサービス)を管轄・運営し、 介護サービス提供に関わる業務の事務処理や保守をすること。 管理者は、取り仕切ったり、介護事業のよい状態を維持したりすること。』となります。

少々、読み難いものの、意味は分かると思います。 管理という仕事をするから、『管理者』であって、部下である介護職員に指示、命令する権限があるからと言って、上下関係や主従関係を必要以上に意識するのは、単なる勘違いではないでしょうか。 「取り仕切る」とは、権限を乱用し権力を行使するような管理方法でありません。 管理者は、全体の業務を個々に分担し、その業務の進捗状況を把握することであり、 よい状態を維持し、さらに良くする(改善する)役割があります。

指定事業者の管理者としての責務は、法的な定めがありますので、その定められている内容を確認しておきましょう。 以下は、訪問介護事業所の場合を例に、どのような規定があるのか具体的に掲載しました。


第28条
(管理者及び・・・・・の責務)

指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者及び業務の管理を一元的に行わなければならない。

2指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。

(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)【厚令37】

第1項にあるように、『従業者及び業務の管理』とあるので、人とその人が行う仕事を管理しなさいということです。 第2項では、『従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行う』とありますが、 これが管理者の最も重要な責務だと自覚している管理者が少ないのです。 『必要な指揮命令を行う』にとらわれると従業者が付いてきません。 むしろ、この章の規定を説明し理解し会得させるということであり、それがいかに難しいかということでしょう。

しかし、管理者自身がこの章の規定すら理解していなかったら、どうなるのでしょう。 このような介護事業者のサービスを利用している要介護高齢者は不幸です。 法律に基づいたサービスを提供する側の管理者がその法律を理解していないことは、 今までも今も問題であるにもかかわらずその対策は十分とは言えません。

管理という仕事は、権限や権力だけではその目的を達成できません。 しかし、未だにそのような旧態依然とした管理方法があることも事実です。 それは組織の規模や企業の業態、業種にもよるので、一概に否定はできません。 少なくとも、介護事業における管理は、 「管理する人」と「管理される人」という関係では、事業が成り立たないのではないかと思います。 言い直せば、「管理という仕事をする人」(管理者)と「管理という仕事に協力する人」という関係が理想だと考えます。 さらに言えば、管理者は、従業者に対して 「あなたにはこの業務をお願いします。それは、このような理由であり、業務内容はこれとこれです。」と言います。 形は業務命令ですが、あくまでも説明と同意、そして理解と納得、目的の共有ですので、 『事前の打診と信頼による依頼』ということです。

これらの一連のプロセスの連続性が管理者に求められる管理業務のような気がしますが、 皆様はどのように理解されるでしょうか。

2008年8月24日掲載

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