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2008年5月のコラム
「介護サービスにおける是正措置と予防措置」

様々な場面で、私が申し上げていることの一つに、 「サービスは形がないので、できるだけわかりやすく見えるようにする」というテーマがあります。 最近、よく言われる『可視化』とか『見える化』ということに通じる考え方です。

介護現場からは、記録や帳票類が多く事務仕事に忙殺されて、 介護サービス利用者へのサービスが十分に提供できないとまで言われています。 自ら提供したサービスの状態をどのように可視化して、形あるものに近づけるかという発想はないのでしょうか。

要介護高齢者を顧客とする介護サービスは、 その提供時にいつも同じ内容のサービスが正しく実施されるとは限りません。 勿論、常に計画通りのサービスを正しく提供できることを目指していても、 利用者の状態や都合などで変わることもあります。 しかも、管理者が気付かないところで、正しいサービス提供を逸脱することも起こり得るし、 計画とは違ったサービスに変形する恐れもあります。 物に例えて言えば、 「ホテルのコーヒーショップで、お客がアメリカンコーヒーを注文したのに、ボーイはブレンドコーヒーを提供してしまった」とすれば、 アメリカンコーヒーとブレンドコーヒーの違いに気付くことは容易です。 目で見てわかるか、飲んでみてわかります。 しかし、介護サービスはどうでしょうか。 利用者が高齢者であることや認知症の方だとすれば、 計画通りのサービスを提供されなくても分かりません。 サービスを提供する側のモラルとしても、 介護事業者がその提供されるサービスごとに記録をするのは当然だと考えられます。 また、定期的にサービスを評価することも必要です。

これらのサービス提供の記録やその評価をしていなければ、 顧客が望んでいないサービスが提供されたり、計画にないサービスが提供されても分かりません。 その場合に、その提供されたサービスは不適合となります。 適合しているサービスとは、契約によって約束され、介護計画書によって合意されたサービス内容を言います。 仮にサービス内容を変更するならば、顧客への説明と同意を得たことが記録として残されるべきです。

不適合なサービスが提供されたことが判明した場合には、直ちにその原因を究明し、 再発防止のための是正措置を講じるということが、理屈としては多くの人々がわかっています。 しかし、原因究明が不十分のために、是正措置が徹底できません。 例えば、昼食は麺類が食べたいと思っている訪問介護サービスの利用者に、 残りご飯を使ったチャーハンを作ったヘルパーさんがいました。 利用者は、うどんが食べたかったので、チャーハンを少し食べて残しました。 ヘルパーは、残りご飯がもったいないと思い、気を利かせてチャーハンを作ってしまった。 こんなことは日常的に介護現場ではよく聞かれる話です。 この場合には、原因がいくつか考えられますが、ヘルパーが利用者の麺類好きを知らなかったとか、 チャーハンを作る前に、利用者に十分に説明し確認しなかったか、 前日の夕飯にチャーハンを食べていたことを知らなかったか、等々。

当該ヘルパーは、事前にサービス提供指示書などを十分に読んで理解していなかったとすれば、 サービス提供責任者が、訪問介護計画書とともにサービス提供指示書をよく説明する必要があります。 これが、もっとも簡単な是正措置となります。 このような対応を他のヘルパーにも周知し同様の問題が起きないようにすることが予防措置となるのですが、 意外にも徹底している訪問介護事業者は少ないようです。 では、是正措置や予防措置が十分に実施されていない原因は何かと考えると、 ヘルパーに必要な研修が定期的に行われていないことが挙げられます。 研修をやりましたといっても、年に1回とか2回程度では、やったという事実、実績のみを意味しているのであって、 研修による効果やヘルパーのスキルアップが確認できるような結果は望めません。 そもそも、研修の効果は、せいぜい長くて3ヶ月くらいではないかと思います。

もう一つ、是正措置や予防措置が実施できない理由には、 経営者がクレームや苦情、事故などを穏便に済ませたいという気持ちが強いからではないかと考えられます。 「臭いもには蓋をする」式の考え方で、 クレームや苦情、事故に対処していれば、根本的な解決も望めないし、是正し予防する仕組みになりません。 いわゆる「モグラたたき」状態が続くだけです。 クレームや苦情、事故、間違ったサービスの提供などが、完全になくなることはないでしょうが、 少なくする努力とその仕組みづくりを目指さない限り、利用者満足も実現しないのではないでしょうか

2008年4月19日掲載

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