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2007年12月のコラム:
「Cool head & Warm heart」

クールヘッド&ウォームハート」という言葉は、私が以前勤務していた介護会社の元社長が口癖にしていました。

その意味は、「冷静な頭脳と暖かい心」とでも言うのでしょうか。 介護の現場にいる人ほど、心優しい方が多いのは当然のように思えますが、一方で冷静な頭脳で正しい判断ができるかどうかとなると、やや疑問があります。

「冷静な判断」ができるかどうかは、その前に状況を把握するための情報収集が十分にできていることが前提になります。 加えて、集めた情報を分析することも必要です。 その上で、冷静な判断を下すことになります。 とかく介護現場で要介護者と接している介護職の方の中には、情が移って感情的な思いが先行して正しい判断の妨げになっていることが多いように思います。 そもそも、その仕事が介護、医療、福祉、保健といった分野であるどうかではなく、どのような業種、業態であってもその職務に責任がある以上、一つひとつの判断は慎重かつ冷静に行わなければなりません。 自ら下そうとしている判断が感情的になっているかもしれないという恐れがあるなら、もう一人の自分に問いかけるような余裕があるとよいのではないでしょうか。 「この判断は正しいか、判断の根拠はどこにあるか説明できるか、この判断の結果、どのようなリスクが想定されるか・・・・」と言うように、問いかけてみると別の判断が浮上することもあります。

医療機関では、医師や看護師が日々患者の生死に直面していることは誰もが知っています。 しかし、果たして本当に冷静な判断によって治療方針が決定し治療が行われているのだろうかと言うと、医療事故の内容や件数を見れば疑わしいものも数多くあります。 最近では、セカンドオピニオンが普及し始め、主治医以外の医師に治療方針や治療方法等について、意見を求める患者も徐々に増えています。 決して、主治医を信用しないということではなく、別の意見や見解もあるなら参考にし、患者が主体的に治療を受けるようとする考え方でもあります。

話をもとに戻しましょう。 冷静に判断することは、誰でもできているようでいて、できていないことがあります。 しかも、その判断が正しいかったかどうかはその後の結果によって決まります。 だからこそ、その判断に至る過程で複数の選択肢を検討したかどうかは重要なのです。 複数の選択肢を検討することこそ、慎重かつ冷静に判断を導き出すことにもなるでしょう。 情に動かされ、反射的に感情的な判断を下すことは、結果的に正しい場合もあるでしょうが、多くの場合に判断の根拠を説明できないことがあります。

「ウォームハート」を「暖かい心」と表現するには、やや抽象的であり、「やさしい心」とか「思いやりの心」と言った方がもう少し分かり易いかも知れません。 「ウォームハート」を拡大解釈すれば、他人を思いやる気持ちではないでしょうか。 特に介護、医療、福祉、保健といった分野の仕事に従事している方々の多くは、無意識に『忘己利他』(天台宗の開祖最澄の言葉)を実践していると思います。 「自分のことより他の人のことを先に考える、すなわち他の人の利益になること、他の人が喜ぶことを考えれば、この世は仏の心を持った人々ばかりいて、住みやすくなる」という意味だそうです。 しかし、最近はこの逆のことが起きています。 「忘他利己」とでも言いましょうか。 自分の利益ばかり考えて事業を進めている経営者が目に付きます。 食品の賞味期限や原材料の表示改ざん事件が多発しているのも、象徴的な出来事です。

お客様を第一に考えるということは、経営者の「ウォームハート」から始まらなければなりません。 経営者自らが『忘己利他』を実践しているかどうかが重要です。 会社組織は拡大すればするほど、創業者や経営者の理念が浸透し難くなり、経営理念が形骸化し継承され難くなっていきます。 勿論、経営者には、「クールヘッド」も要求されます。 経営者だからこそ、一般社員や役員よりもさらに慎重かつ冷静で高度な経営判断が求められているはずです。

経営者も一般の社員、従業員でも、そのおかれた職責にかかわらず「クールヘッド&ウォームハート」が実践され、組織として機能しているなら、どのような事業も発展するでしょう。 しかし、組織を構成する人々は、感情(心の動き)に左右され、個々に失敗もするし、ミスも犯します。 だからこそ、常に「クールヘッド&ウォームハート」が意識されている習慣が必要です。

2007年12月1日掲載

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