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2007年8月のコラム:
介護のプロと経営のプロ

最近は新聞やテレビによる、コムスン事件に関連する報道が少なくなっていますが、売却先がどこになるか少々気になるところです。

最新の新聞記事では、7月22日付けの朝刊に、コムスンが売却選定のための第三者委員会を設けることが決まったということでした。

先日、コムスンの社員の方とお話をする機会がありましたが、介護現場の方々は日々ご苦労が尽きないということでした。 利用者に直接向き合っている介護職の方々には、介護報酬の不正請求や事業開始時の不正な指定申請などは、全く関係ないことです。

結局、介護事業所を運営する管理者やその上位にある管理職、会社の経営層に至る、非生産部門のスタッフによる経営手法が間違っていたのでしょう。 経営層であるトップマネジメントが経営理念に忠実に行動していれば、法令を犯すことは考えられません。

コムスンに限らず、同時期に問題となったNOVAやミートホープにしても、結局は素人経営者が事業を行なっていたとしか言いようがありません。 仮にコムスンの介護職の方々が、より専門性の高い介護の技術や知識を習得しようとして自己研鑽していても、結果としてそれが無意味になってしまったわけです。 コムスンの介護サービスは、本当にテレビCMのようなサービス提供が行なわれているかどうか甚だ疑問ではありますが、CMの映像は理想であり、それに近づける努力があったかのかどうかもわかりません。

プロフェッショナルな経営ができなくて、現場の介護サービスも売上至上主義を強要されていたとすれば、プロの介護サービスも提供できていたとは言い難いのではないでしょうか。 NOVAにしても明らかにプロの経営ではなく、外国人講師をモノとしか考えない雇用の仕方で過酷な就労もあったようです。 そんなことでは、英会話学校としてのサービスの質は担保できないのも当然です。 また、ミートホープの社長は、法令遵守という言葉すら知らないのではないだろうかと思います。 偽装牛肉発覚から数週間で、会社を畳むことになってしまいました。

介護サービス事業の経験が長く、資格も取得し知識も豊富な人が、満を持して独立開業することがよくあります。 要介護高齢者に対する人並み以上の思い入れがあり、地域のお年寄りのために介護サービスを提供する事業所を起業した方は少なくありません。 介護保険制度におけてサービス事業者になるためには、法人格が必要なので、有限会社(現在は設立不可)や株式会社、合資会社等々、NPO(特定非営利活動法人)などを設立し開業しています。 ところが、介護サービスに関しては経験も豊富で知識もあり、介護関連の資格も取得していて、一見、介護に関するプロフェッショナルですが、経営については全く経験がなく知識もほとんどない状態で会社を設立し、開業します。 しかも、そんな介護事業経営者でも、介護保険法に精通している方はあまりお見受けしません。 介護サービスの提供経験が豊富であっても、介護事業が成功するわけではありません。

起業するからには介護保険法や関連する法令等を知った上で事業を経営していくことが必要です。 介護はプロ、経営は素人では許されないのです。 しかし、介護も素人に毛が生えた程度で経営も素人では、利用者は安心してサービスを受けられないということになります。 よくあるのは、NPO法人を設立し介護サービス事業を開業している理事長や理事が、 「介護も経営もアマチュアだけど、福祉に対する情熱は誰にも負けません。」と言って、知らずに介護保険では認められていないサービスを提供していることがあります。

プロが提供する介護サービスを実現できるのはプロの経営者です。 介護サービスに限らず、高品質の製品やサービスは、その道のプロが創り出しています。 その製品やサービスを必要としている顧客に販売し、喜んでいただくような組織をつくり上げるのは、プロの経営者です。 『介護のプロ、経営のプロ』もそれを目指さなければ、いつまでも経っても『素人介護、素人経営』のままです。 それは、顧客である利用者にとって利益にはなりません。 今後も益々介護業界全体に求められるのは、『経営のプロによるプロの介護サービス』ではないでしょうか。

2007年7月24日掲載

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