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2007年5月のコラム:
「介護大手三社の不正請求問題」から学ぶこと

昨年末に、東京都がコムスンの50数箇所の訪問介護事所に対し監査を行ない、相当の不正請求が発覚しました。

そして、4月に入って今度は、コムスンに加えてニチイ学館、ジャパンケアサービスにも不正請求が認められたという新聞やテレビの報道に驚かされました。 おまけに人員配置の不正まであったということで、 コムスンでは数箇所の事業所の指定取り消しが相当という東京都の意向も報道されました。

これらの一連の法律違反行為が会社ぐるみで行なわれていた可能性は否定できませんし、 半ば恒常的に行なわれていたようです。

東京都は、これが極めて悪質であると認め、指定の取り消しを検討していることを発表しましたが、 取り消しが決まる前にコムスンは三事業所の廃止届けを先に提出し、取り消しを避けた形になりました。

さて、介護業界に起きた不正請求問題から学ぶことがあるとすれば、それは何だろうかと考えてみると、 他の業界でも様々な不祥事や不正行為、不正疑惑が多発していて、報告義務を怠っていたり、証拠の隠滅などが当然の如く行なわれていた例が後とを絶ちません。

有識者や評論家等々のお決まりの発言は、「コンプライアンスの確立が必要だ」とか、「チェック体制を強化すべきだ」、「外部の監査機能を導入すべきだ」・・・・色々とありますが、 結局は同じことを繰り返し言っているだけで、本当の再発防止ができるとは思えないのというのが実感です。

電力会社の原発事故隠蔽問題も、顧客データ流出事件&紛失事件、松岡農水大臣の事務所費問題、などなど、すべての原因は同じではないかと思います。 会社組織のトップ、経営者層が顧客本位の経営を実践していないからです。 問題や事故、事件を引き起こした会社の企業理念である社訓、社是などは、それは立派な文言が並んでいます。 「お客様第一主義」、「顧客第一」、「顧客満足向上」、などなど。残念ながら、書いてあるだけで、実践に活かされていないから、様々な不祥事、不正行為、不正疑惑が起きるのです。経営理念は「顧客第一」と謳っていながら、実際には、会社の利益がすべてに優先する会社の風土が形成されていることに、当事者たちが気づいていないから、同じような問題が次から次へと起きているのでしょう。

介護サービスは、形があるわけではありません。 形づくるのは、サービスを提供する介護事業者の職員、社員、従業員です。彼らが日々の業務において、顧客本位、お客様第一主義を実践しなければ、不正請求も人員配置違反もなくなりません。 職員、社員、従業員が顧客第一主義を慣行できる業務環境を整えるのが、会社の役割です。いわば、経営者が率先垂範して実行するしかないのです。 「いくら儲かったかを発表する会議」より、「お客様に喜んでいただいた仕事がどれだけできたか、クレーム・苦情をいただいたお客様が納得されるために何をしたかを話し合う会議」の方がはるかに有意義ではないでしょうか。 冒頭の介護事業三社は、果たしてどちらの会議を行なっていたのでしょうか。

コムスンやニチイはテレビのCMでは、「お客様第一主義」、「顧客第一」、「顧客満足向上」のイメージを高めることに多額の費用をかけていますが、サービスの実態はどうなっているのだろうかと思ってしまいます。 テレビのCMが実態とかけ離れている例は、他にも色々とあります。 保険会社も保険金不払問題がありましたし、少し前では、サラ金の違法な取立てや高金利が問題になりました。 CMで作られたイメージは、残念ながらCMの世界だけのことだということを認識する必要があります。 多くの中小零細の介護事業者にとってはテレビCMなど夢であり、そんな多額の費用はないので、ただひたすらに「顧客満足向上」を目指し評価を高めるしか方法がありません。

追記

コムスンは、特に悪質な不正請求などを指摘された三事業所の指定取り消しがほぼ確定したことをうけて、直ちにその三事業所の廃止届けを出しました。 指定取り消し処分ができる前に廃止届けを先に出して、事業所を閉じました。

この一連の動きは、コムスンの経営層が何を考えているのかをはっきりと示しています。 顧客を第一に考えていないことだけは明白です。

2007年5月3日掲載

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