日本の国家財政が破綻するのではないかという見方がありますが、政府は『経済財政運営と構造改革に関する基本方針~2005年(骨太の方針)』で、財政再建に向けた「歳入・歳出の一体改革」と言う方針を打ち出しました。 国家の歳出の削減と、消費税を含む増税による歳入の拡大を一体的に進めるという内容です。
政府は6月に「歳入・歳出の一体改革」の選択肢や工程をまとめる予定ですが、3月27日に開かれた財務省・財政制度等審議会の介護では、将来の社会保障制度について深刻な試算が報告されました。
試算は、政府の目標となっている「2010年代初頭の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を均衡させる」ことを前提にしたものです。 プライマリーバランスとは、新たな国家の借金に頼らないで、その年度の税収入等々だけで政策的支出を賄える状態を言います。 その支出における最大の歳出項目は、社会保障費であり、これをどのように捻出し確保すべきかが問題です。 試算では、歳出の削減を基本的前提条件としたシナリオを描き、2つのシュミレーションを提示しています。
①国債費を除くすべての経費を一定率で削減するとした場合
・医療保険の自己負担額を2011年度に2倍、2015年度に2.5倍に引き上げる。
・介護保険の自己負担額を2011年度に2倍、2015年度に4倍に引き上げる。
・基礎年金の支給開始年齢を2011年度69歳に、2015年度に71歳に引き上げる。
②社会保障、地方交付税等々、人件費に関する一定の歳出削減を仮定し、その他の経費を一定率で削減するとした場合
・医療保険の自己負担額を2011年度に1.3倍、2015年度に1.6倍に引き上げる。
・介護保険の自己負担額を2011年度に1.5倍、2015年度に2倍に引き上げる。
・基礎年金の支給開始年齢を2011年度66歳に、2015年度に67歳に引き上げる。
これまでに決定した政府の財政健全化の方針を踏まえて、あくまでも機械的な試算で、長期的な見通しを示しました。 穿った見方をすれば、消費税率引き上げの必要性を強調する狙いもあるとも言えます。
仮に介護保険の自己負担額が引き上げられたとしたら、当然ながら、利用者の財布の紐は固くなるはずです。 それでも顧客が満足して利用してくれるような介護サービスを提供できなければ、介護事業者として成り立っていかない可能性があります。 医療保険の場合でも、自己負担額が引き上げられるたびに病院利用を控える傾向がありましたが、介護保険が、初めてむかえるであろう、自己負担額引き上げに対して、介護事業者は今から備える必要があります。 例え、自己負担額が現在の二倍になったとしても、利用し続けてもらえるような介護サービスを目指さない限り、介護事業者の明日はないと思わなければなりません。
2006年6月10日掲載
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